ナチュラルファイブ 第28話後編「大ピンチ?あれが最強怪人?」

作:冷凍石

 

「ウォータースクリュー!!」

「サンドウォール。」

 ファイブの高圧力の水流を、麻紀が作り出した砂の壁が防ぐ。

 戦闘前に感じていた不安は掻き消え、彼女は勝利の手ごたえを感じていた。

(ファイブの攻撃はすべて水。私は砂。水の攻撃はすべて砂で吸収できる。攻撃を凌ぎ切って、必殺技エンドオブクイックサンドに引き摺り込めれば…。これなら仲間を呼ばなくても大丈夫ね。)

 NXはブレスレッドで連絡を取り合うことができる。自分の不得意な怪人が現れた場合は、巧みに時間を稼ぎ、仲間が到着するのを待つ。得意な怪人の場合はそのまま倒していた。麻紀は、ファイブの戦い方を見て、得意な怪人だと判断した。

 2人の周りにはギャラリーが集まり、大きな輪になって広がっていた。皆口々に正義のヒロインらしいナチュラルイエローを応援している。

「まけるなー、ナチュラルイエロー!」

「ガンバレー!」

 応援の言葉を受けて、麻紀は新たな力が湧いてくるような気がした。

(皆が応援してくれている。この私を。皆の応援が私の力になる。)

 麻紀は、ギャラリーが自分を応援していると勘違いしていた。ギャラリーは彼女の目的・使命を知って応援しているわけではない。GGD戦闘員による巧みな宣伝により、特撮のヒロインとして彼女を応援しているだけである。状況が変われば応援がどちらに転ぶかわからないことに、彼女は気付いていなかった。

 

「サンドスプラッシュ!!」

「ぐふっ。」

 高密度の砂がファイブを打ち付け、片膝をつかせた。グレーの背広が所々破れ、傷だらけになっている。

「くっ、なかなかやりますね。」

「とどめよ。すべてを飲み込め!!今必殺の!!」

 ファイブの周りが円形に砂へと変わった。

「エンドオブクイックサンド!!!」

 掛け声が終わると同時にゆっくりとファイブの身体が砂の中へ沈み始める。

「これは…。」

「終わりよ、GGD最強怪人スーパーファイブ。地獄の底まで沈むといいわ。」

 勝利を確信しながら、麻紀はファイブの最後を宣言する。

「くっ、そんなバカな!!私は最強怪人。私はスーパーファイブ。負けるはずがああああ!!!」

 膝下が完全に埋まった状態でファイブは絶叫した。

 

 

 麻紀の親友、氷室レイカはそろそろ講義の時間が近づいていることに気付き、本に栞をはさんで閉じて、教室へ向かうために歩き始めた。時間的な余裕があったので、のんびりと歩いているとなにやら人だかりができている。

「何があったんです?」

「特撮の撮影をやってんだってよ。そこの黒いのにチラシを貰えばいいよ。」

 問われた男はそう答えた。

(特撮?)

 いかにも戦闘員という黒タイツの人物にチラシを催促するとすぐにくれた。

(なになに、美少女戦士ナチュラルイエローと最強怪人の死闘。怪人の石化攻撃をかわす…。石化攻撃ですって。ぜひ見学しなくては。固め好きとしては絶対に見逃せないわね。)

 特撮番組は全話録画し、石化・凍結・固めシーンだけを編集するレイカが、直にそのシーンを見られるかもしれない、石化にいたる演技が見られるかもしれないという誘惑に耐えられずはずもなく、さっそく病弱な身体に鞭打って、人垣を押しのけギャラリーの輪の内側へと割り込んでいった。

 

 

「…なんてね…。そろそろあなたの見せ場も終わりですね。私も反撃させてもらいますよ。」

 突然、絶叫を止めたかと思うと、唐突に反撃を予告するスーパーファイブ。彼は既に太腿まで沈み、脱出は不可能に思えたが、その顔には余裕の笑みが浮かんでいた。

「えっ、どういうこと?」

 あまりにも予想外の展開に麻紀は混乱していた。

(目の前の怪人は着実に流砂へ飲み込まれようとしている。攻撃も自分には通用しない。何を根拠に…。)

「強がりは止めることね。」

「強がりではありませんよ。証拠を見せましょう。スーパーファイブ、グリーンハンドモード!!」

 ファイブは腰まで砂に沈んでいることを気にもせず、青に輝く左腕を胸の前にかざし、叫んだ。声と共に左腕から光が溢れ、光の玉と化したファイブは砂を跳ね飛ばして地上1メートルに浮かび上がった。光が収まると真新しいスーツを身に纏い、左腕をエメラルドグリーンに輝かせたファイブが、胸の前で腕を組み立っていた。

「くっ、なんてこと。すべて演技だったとでも言うの?」

「ご名答。すべて演技ですよ。物語はピンチを交えて盛り上げないと。私はあなた達NXを倒すために作られた怪人。この左腕のファイブハンドがある限り一対一では負けません。」

「サンドスプラッシュ!!」

「ウインドシールド!!不意打ちとは変身ヒロインらしくもない…。」

(やはり、風を使う。どうやら腕の色を変えることで、その能力を変えることができるようね。このままではまずいわ。風使い相手に私の攻撃は通用しない。皆に連絡を取らないと…。こんな相手に太刀打ちできるのはピンクぐらい…。)

 麻紀の思考を遮るように、ファイブは忠告した。

「仲間を呼んではいけませんよ。連絡するのもだめです。もし、ブレスレッドで通信する素振りを見せるようなら、周りのギャラリーは、風に切り刻まれバラバラになって死ぬことになるでしょう。」

 周りのギャラリーがざわつく。

「俺達、切り刻まれるんだってよ。」

「てことは、俺達もエキストラ扱いってことじゃないか?芸能界デビューだぜ!!」

 勝手なことを話し合っているギャラリーを見回しながら、麻紀は通信を諦めた。

(彼らを犠牲にするわけにはいかない。)

「わかったわ。約束を守るから、その代わり、もう二度とギャラリーを盾に取らないと約束してくれない?必殺技を破られた、手も足も出ない小娘のお願いを聞いてもらえないかしら?」

 ファイブはしばらく考えてから答えた。

「いいでしょう、直接彼らへ攻撃しないことを約束しましょう。私のGGDへの忠誠心をかけて約束いたします。」

「ありがとう…。」

「いえ、お礼を言われる筋合いはありません。どちらにしろ同じことですから。」

「え、それはどういうこと…。」

「論より証拠。ペトロウィンド!!」

 ファイブの左腕から白いガスが麻紀に向けて噴出した。身構える麻紀。白いガスは彼女の周りで渦巻くと、そのほとんどがNスーツに吸収されていった。それに伴いNスーツのいたる所が少しずつ灰色の石に変わり、石になった部分はボロボロと崩れ落ちていく。

「これは、な、なんなの?」

「対Nスーツ用石化ガスですよ。あなた方を守るNスーツの破壊を目的に作られました。Nスーツを優先的に石に変え、粉々に砕いていきます。Nスーツがなくなれば、スーツの加護がなくなった持ち主が石になりますがね。」

 説明の間にもNスーツは確実に崩れていった。

(とりあえず、ガスから身を守らないと。)

「サンドウォール!!」

「むだですよ。砂は風に弱い。例外はありません。」

 砂の壁はガスによって吹き飛ばされた。

(いったん逃げるしか…。)

「逃げるのは構いませんが、噴霧対象を失った石化ガスはあなたの後ろのギャラリーに吹き付けられることになります。たくさんの石像ができますね。質がいいのは大切に保管しますが、悪いのはどうするか保証できませんねえ。」

 麻紀の考えを読んだかのようにファイブは忠告した。

(そっ、そんな!!)

 麻紀には、もう打つ手がなかった。ガスから身を守るように、身体を丸め、背を向けることしかできなかった。

「そんなに落胆しなくてもいいでしょう。私はあなたを石化できる。あなたはギャラリーを身を呈して守ることができる。ギャラリーはあなたの裸が見られて大喜び。動かないことで一石三鳥なのですから。」

 ギャラリーたちは麻紀のNスーツがボロボロになり肌の露出が増えるにつれ、ざわめき始めた。

「おいおい、子供向けの特撮ビデオじゃないのかよ。」

「半ケツ状態だぜ。いいのかよ、こんなの子供に見せて?」

「マニア向けの特撮AVじゃないのか。」

「それじゃあ、このまま剥かれてやられるわけだ。」

「ガンバレー、サラリーマン怪人。」

「さっさと裸にしちまえよ。」

 麻紀は心無いギャラリーに言葉のナイフで切り刻まれながら、石化ガスを浴び続けていた。

(私は、皆のために戦っているのに、今だって皆のために石化ガスから逃げずに耐えているのに、なんで向こうの応援なんかするの?なんで、そんなギラギラした目で私を見るの?なんでよ?)

 何度ギャラリーを見捨てて石化ガスから逃げようと考えたことだろう。しかし、その度に正義の使命、仲間達を思い出し、思いとどまった。

(これも奴らの手よ。私を絶望に追い込み楽しんでいるんだわ。心だけは、負けてはいけない。いいえ、負けない!!こんな奴らに。)

 

 麻紀の親友、氷室レイカは、美少女戦士を見て驚いていた。

(マッキー、マッキーじゃない。じゃあ、マッキーが石化するの?)

 レイカは常々思っていた。麻紀を石にすればどんなに美しいことだろうと。世間話をしている時も、相談に乗っている時も、優しく微笑みながら瞳の奥に灰色の石化願望を燃やしていたのだから。

 なぜ、麻紀がその場にいるのか?なぜ闘っているのか?という部分に疑問をもたず、ただ、麻紀が石になるという一点に注目し、期待に胸を膨らませていた。

(自分に能力があれば、自分の手で石化したのに)

 ほんの少しだけ残念がりながら…。

 

 石化ガスの噴霧がいったん止められた。胸を押さえていた手の隙間から元Nスーツだった最後の石片がこぼれ落ち、彼女は裸になっていた。ギャラリー、ファイブ、戦闘員の目線が彼女へと集中する。麻紀は裸身を隠すため、右腕で両乳房を、左腕で下腹部を押さえていた。

 ギャラリーはその姿を見て興奮のるつぼと化していた。

「前を隠して尻を隠さずだな。」

「おい、乳首が見えてないか?ほらアレ。」

「下の毛は、薄いみたいだなあ。」

「フン、下品な身体。」

「くうぅ、少しでいいから触らせてくれないかな?」

「みえないぞ!!手を除けろ!!」

 麻紀は下唇を噛んで恥辱に耐えていた。その様子をファイブは見ながら楽しそうに今後の予定を説明する。

「フフフ、今からは、あなた自身が石へと成り果てます。私は女性に優しいジェントルマンですから、要所を手で隠したその姿で石になることを許可しましょう。丸見えよりは隠している方が私は趣があって好きですからね。せいぜい恐怖に身を焦がして、我々に心地よい悲鳴をあげ、絶望と共に石になってください。」

 再度、石化ガスが麻紀に吹き付けられる。麻紀は石になることについて覚悟を決めたのか手で胸と股間を隠したまま動こうとはしなかった。目を静かに閉じ、石化が進むに任せている。

 石化ガスはゆっくりと彼女の身体に満遍なく吹き付けられている。彼女は頭部を除いて、ゆっくりゆっくりくすんだ灰色へ色を変えようとしていた。恥かしさから少しピンクに染まった小麦色の健康的な肌が、白い無機質な物へと変わる。変化の途中で見せるその対照的な色のハーモニーが、GGDを含めたギャラリーの心を鷲掴みにし、声を上げることすら躊躇させた。生身の裸体が放つ健康的な色気が、石化することにより熟成されたワインのように深い味わいのある上品な色気へと昇華していく。その一部始終を彼らの網膜が、そして撮影用のカメラが記録していった。

 右腕からこぼれ落ちそうな胸が石に成り果て、いよいよ頭部を残すだけになった時、ファイブは我に返って麻紀へと声をかけた。

「いよいよ最後です。言い残したいことはありますか?」

「たとえ私が倒れても、ナチュラルファイブは必ずあなたを、そして、悪の秘密結社GGDを滅ぼすわ!!この世に悪が栄えた例はないのだから。」

 静かに目を閉じたまま、麻紀は心を静めたまま答えた。

「うーん、本当はここで、助けてとか、何で私がとか、絶望に満ちたコメントと表情が欲しかったのですが、まあ、しかたがないですね。我慢しましょう。」

 

 

 そのときギャラリーの中から風のようにファイブに人影が近寄ってきた。

 パン!!!

 その女性はいい音をさせてファイブの左頬をビンタすると、怒鳴りつけた。

「あなたは何を考えているの、あなたが行っている石化は芸術行為でしょう?しかも、一つの命を使った、やり直しが効かない究極の芸術!!それを仕方がない、我慢するですって!!あなたに石化を行う資格はない!!こんな手袋外してしまいなさい!!」

 レイカは激怒していた。ファイブの言葉は石化を侮辱しているとしか思えなかったからだ。石化の手段を持たない自分が、これだけ石化を芸術として愛しているのに、この怪人はその手段を持ちながら、その素晴らしさをなにもわかっていない。レイカは怒りに身を任せて行動していた。目の前で行われている石化の原理も気にせず、事実としてあっさりと受け止めている。

 レイカは、ムンズとファイブのファイブハンドを掴むと、あっけに取られて動けないファイブの左手から無理やり引き抜いた。ファイブは手袋が外れると、突然前のめりに倒れ、動かなくなった。

「レイカ、レイカなの?危ないわ。早くそこから離れて。早く。」

 状況を把握しきれていない麻紀は、親友の姿を意外な形で見つけ、戸惑いながらも彼女の心配をしていた。

「マッキー、あなたは私の親友。私の理想よ。本当に美しい。そんな美しいあなたをいいかげんな気持ちで石化しようとする奴が許せなかった。」

 レイカは足元に転がるファイブを蹴り上げ、その顔を踏みつけた。

「安心して。あなたは私が完全に石化してあげる。親友の私、自らの手で。」

 そういって、レイカは右手に持っていたファイブハンドをゆっくりと左腕にはめようとする。

 麻紀には信じられなかった。

(あのレイカが、儚げでいつも本を読んでいたレイカが、私の下手な冗談にもいつもうんうんと頷いていたあのレイカが、私の悩みに一緒に泣いてくれたあのレイカが、私にとどめを刺そうとしている。信じられない。そんな、そんなバカなことが!!)

「だめよ!!レイカ!!」

 必死に叫ぶ麻紀。しかし、その必死の言葉は、レイカに届かなかった。

 ファイブハンドをはめたレイカはにっこりと麻紀に向かって笑った。それは、麻紀が今まで見たことのない、いきいきとした笑いだった。

「フフフ、力が溢れてくる。あなたの、あなた達NXの、そしてGGDの情報がわたしの身体に流れ込んでくる。そういうことだったのね。なるほど。」

 何かに納得するようにレイカはしきりに頷いた。そして、改めて麻紀を見つめ、そのエメラルドグリーンに輝く左腕を向ける。

「レイカ、あなたは今まで私を騙していたの?答えて!!レイカ!!」

 髪を振り乱しながら問いかける麻紀。

「マッキー、私はあなたを騙してなんかいない。私は今もあなたの親友よ。親友だからこそあなたを石にしたいの。もし、私の石化魂を騙したと言っているのなら、それはお門違いよ。あなただって自分が、NXの一員であることを黙っていたじゃない。」

 麻紀は、納得できず更に問いかける。

「レイカ!!なぜ?なぜなの?レイカ!!!」

 レイカは自分の考えを理解されないことに少し苛立ちを感じながら、左腕の狙いを定める。

「さようなら、マッキー。いいえ、ナチュラルイエロー。親友にとどめをさされる絶望を胸に、永遠に続く時の流れを楽しんでね。ペトロウィンド!!」

 石化ガスが麻紀の顔を包み込む。親友に裏切られた絶望と苦悩、そして、こぼれ落ちた涙もろとも、彼女は石になった。少し後になびいて石となったショートカットの髪、どんな芸術家も再現できないであろう細やかな睫毛や眉毛。悲しみと困惑をおびて見開かれていた瞳は艶のない灰色に染まり、その苦悩の表情と相まって、よりいっそう哀れさを誘う。悲しみを称えたビーナス像。そんな言葉がレイカの頭に浮かんだ。

 

「さあ撮影は終わり。皆さんご協力ありがとうございました。ビデオがいつの発売になるかわかりませんが、ぜひ見つけたら買ってくださいね。それでは撤収!!ああ、それからカメラ係。フィルムは必ず複製して私に渡すように。いいですね。」

 レイカの声に躊躇していた戦闘員達は、どうするかしばらく相談していたがレイカに従うことを選択し、片付け作業に入った。数十分後、ナチュラルイエローの石像、意識を失ったファイブは戦闘員によって連れ去られ、レイカ一人がその場に残っていた。ギャラリーもいなくなっている。

「さようなら、麻紀。そして、さようなら、今までの私、氷室レイカ。永遠にグッバイ。」

 それだけを呟くと、レイカは左腕を胸の前にかざす。レイカの身体は光に包まれ、すぐに消えた。

 

 

某所 GGD秘密基地

 

「これはどういうことかな?フリーザン?」

「えっ、なんのことでしょうか?ボス。」

「怪人5人分の予算で手袋一つしか作れなかったのか? サンドラー?」

「いや、それは…、そのう…。」

「しかも、簡単に取り外しができるようだが?」

「それは、メンテナンスしやすいようにと…。ねえ、フリーザン。」

「そうですよ、ボス。メンテはまめにやらないと…。」

「その上、か弱い女にあっさりと奪われたようだが?」

「いやー、普通、あの状態で手袋だけを奪われるなんてこと、想定しませんよ。ねえ、フリーザン。」

「そうですよ、ボス。まあ、彼女は敵にはならないようですし…。」

「だといいがな。それ以上に、女が指摘した、ファイブのあの場でのあの発言についてはどうだ。」

「それについては返す言葉もありません。」

「私も同じくです、ボス。」

 

 戦闘員を引き連れ、普段着姿で左手に銀色の手袋をはめた、ひどく違和感のある女性がGGD謁見室に現れた。

「はじめまして、ボス様、フリーザン様、サンドラー様。わたくしはレイカと申します。私は、こだわりのない石化、冷凍、固化が許せません。その点、左腕の情報にあったGGD幹部の皆さんが持つ固めに対するこだわりは、共感できるところが多々あります。どうでしょう、私を末席で構いませんので、幹部の端に置いてくれませんでしょうか?」

「きさま、怪人の腕を盗んだ分際で…。幹部になりたいだと?」

「あら、何ならこの場で戦って、幹部の地位を奪い取りましょうか、フリーザン様?レッドハンドモードでお相手しますけど。」

「くっ。」

「フリーザン、我々二人に勝ち目はありません。ボスならともかく、我々の力で彼女には絶対に勝てない。ファイブであれば忠誠の脳改造をしてあったのですが…。」

「申し訳ありません。ただの冗談です。GGD結成当初からご尽力されたお二人を私は尊敬していますから。お願いします。幹部にしてください。幹部になれば私が考えていた色々な案を実現することができるのですから。怪人の地位ではそれもままならないようですし。」

「いいだろう。」

「ボ、ボス!!」

「黙れい、フリーザン!!ただし、一つだけ条件がある。お前にこの条件が飲めるかな?」

「どんな条件ですか?」

「我の望む衣装を、主に露出の高い黒の衣装を着けることが条件だ。悪の組織には女性幹部が必要だと、常々思っていたからな。それと、2つ目は、ボス様は不自然ゆえ、ボスと呼ぶことだ。」

「そんなことでよろしければ。ありがとうございます、ボスさ、いえ、ボス。私、レイカは、GGDに、そして、ボスに永遠の忠誠を誓います。」

 

 

 こうして、GGDに新たな女性幹部『レイカ』が誕生した。

 

 

幹部達が退出した後、ボスと呼ばれた男はボソリとつぶやいた。

「結果オーライか。サンドラーとファイブ、キャラが被っていたからな。」

 

第29話へ

 

次回予告 ナチュラルファイブ 第29話 サブタイトル未定

 新たな幹部を迎え、活き上がるGGD。

 一方、イエローを失い、悲しみに包まれたナチュラルファイブの面々。敵討ちを主張するレッド。それに反対するブルー。両者を諌めるグリーン。そして、目をつぶり考えつづけるピンク。今、チームの心はバラバラだ。

 チームワークを取り戻せ!!負けるな、大自然の使者、ナチュラルファイブ。

 

 

レイカからのお願い

 人体の石化は危険だから、良い子のみんなは真似しちゃダメよ。レイカとのお・や・く・そ・く。

 

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