『不滅の美』
作:冷凍石


《桜の花は儚く散るから美しい。究極の美とはそういう儚いものの中にあるのではないかな?》
《それはちがう。究極の美は不滅なものにこそ宿るものだ。誰が失われることを前提に作品をつくると思う?不滅だからこそ魂を込められるのだ。》

「うっ…く、夢…か。ふふふふ、ははははは!」
 男は目を覚まし、そして突如笑い出した。狂ったように。もしくは狂っているために。


 冷子は奇妙なけだるさを感じながら、目を覚ました。そこは薄暗く、始めは暗闇しか判別できなかった。だが目が慣れても闇は去らず、自分がどこにいるのか不明なままだった。周りを見回すため首を動かそうとしたが、ピクリとも動かすことができない。それどころか指一本動かすことが出来なかった。自分が立っているということはわかるのだが、筋肉がまったくいうことを利かない。そこまで考えたとき、自分が一糸纏わない、生まれたままの姿であることに気がついた。
「何で…。誰か、誰か居ないの!!」
 悲鳴が合図になったのか、強力なライトが彼女に照らされた。暗闇に慣らされた目には眩し過ぎる光の中から、冷子へ声がかかった。
『ようこそ、私の美術工房へ』
 光の中に人影が見えるような気がするのだが、眩しさのために確認できない。何とか目が慣れてきたところで白衣を身に着けた貧相な男が姿をあらわした。それは先ほどの言葉から連想する芸術家というよりは、科学者といった方が似合う男だった。冷子は彼をある意味よく知っていた。自分が顎で使っている、顔にいつも薄笑いを浮かべた出来の悪い部下、それぐらいの印象しかもっていない。
「あなた白石ね?どういうつもり?私に何をしたの?早く私を解放しなさい。こんなことをしてただで済むと思っているの?」
冷子は会社で接するように強い口調で命令した。
 白石と呼ばれた男はそれには応えずに言葉を紡ぎ始めた。まるで、自分の言葉に酔っているかのように。
『美術工房というからには美術品を創作する場であるわけで、今回は石膏像の作成を行います。』
「そんなことどうでもいいから、早く私を自由にしなさい。」
『まあそう焦らずに、私の説明を最後まで聞いてください。さて、これは何だと思いますか?』
 男は足元に置かれたナイロン袋から白い粉を金属製の器ですくい、彼女の目の前へ持っていった。
「な、なによ、これ。石膏、そう石膏じゃないの。」
 唐突な質問に虚を突かれ、冷子は先ほどの石膏像という言葉から思わず真面目にそう答えた。
『正解です。ただし普通の石膏ではありません。これは、仕事の合間に私が研究開発した画期的石膏粉末、【ホワイトストーンZ】、略してWSZです。』
「HSZか、XYZかは知らないけど、そんなつまらない話を聞くつもりはないわ。貴方には会社から厳罰を与えてもらうから覚悟しなさいよ。」
 冷子は白石の言葉をさえぎり、憎憎しげに怒りの言葉を吐いた。現在、身動きが取れず己の運命を白石に完全に握られているということを怒りで判断できていないらしい。しかし、それを指摘することなく白石は説明を続ける。
『まあまあ、ここからが肝心ですのでちょっと我慢してください。さて、このWSZの特徴は、伸縮しない、強固である、凝固中に熱を発しないという特徴があります。まずこれを見てください。』
白石は一枚の白い板を取り出した。それは50cm平方の正方形、厚5mmの板だった。
『これはWSZを用いてつくった石膏の板です。本来の石膏であればすぐにひび割れて板の状態を保つことすら出来ません。しかも。』
おもむろに、板を手放す白石。板は床に落ちたが、冷子の予想に反してカンという高い音を発して形を変えずに存在している。
『見てください。この頑丈さを。すばらしいでしょう。このように従来では考えられない強度を持っています。凝固中の熱については、またあとで実際に確認してもらうとして…。』
ぼそりと意味深な言葉を白石が吐いているのに気付かず、冷子は三度彼の言葉を遮る。
「くだらない発明ね。そんな屑を作って何を有頂天になってんだか。屑には屑しか作れないのかしら?」
あざけりの言葉に、白石は一瞬左の眉を動かしたが、すぐに説明に戻る。
『これは、手厳しいですね。でも、それだけではないのですよ。実はこのWSZは凝固中に触れている有機物をWSZに近い物質に変換する能力もあるのです。私はそれをとりあえず固化とよんでいます。まあ、簡単にいえば溶いた状態のWSZを塗られた有機物はWSZになるってことです。もちろん塗る量によって固化する体積は変わります。あ、そうそう、有機物には生き物も含まれますよ、当然。』
「もういいかげんにして。くだらない。」
冷子は思ったことを言葉にして吐き捨てた。
『ここからが本題です。私はこれからWSZを使って女性の石膏像をつくろうと考えています。』
「なに、私をモデルにするつもり?それで、私を動けなくしたのね。確かに一時期はモデルになろうと考えたこともあったわ。でも、私は承諾しないわよ。いいえ、こんなことをして絶対に許さない。それに、貴方に芸術的センスがあるとは思えないわ。貴方のようなぐずに。」
冷子の自分に対する評価に白石は彼女に冷ややかな瞳を向けたが、それも一瞬ですぐにもとの含み笑いのような表情に戻り、話しを続けた。
『いえ、貴方を基にして石膏像をつくるのです。』
「だから私をモデルとして…。」
『ちがいますよ。具体的にいうとWSZを貴方の全身に直接塗りつけていきます。満遍なくね。』
「バカなこと言わないで!そんなことをしたら。」
『ああ、ご心配なく。どこかの猟奇推理小説みたいに倒れて砕けた石膏像の中から腐乱死体が現れるということはありません。あなたをそんな惨めな物に変えるつもりはありません。何故なら、塗られるWSZの効果によって体の芯まで石膏像になってしまいますから。これまでに他の生き物で実験してあるから中途半端に固化が進むようなことはないです。安心してください。貴方は文字通り身も心も石膏像になるのです。もちろん、WSZであれば倒れたからといって欠損が出来るとは考えられませんが。』
元々、笑っていた唇を白石はさらに歪めた。
「いやぁぁぁ、私まだ死にたくない!!仕事も恋もこれからという時に、こんなバカのために死にたくない。私が何をしたっていうのよ。絶対にいやぁ!!体を動けるようにして。誰か助けて。」
 白石の懇切丁寧な説明によりやっと自分の状況を理解した冷子は、死に対する恐怖から金切り声で悲鳴をあげ始めた。そんな様子を皮肉な目でみていた白石だったが、すぅっと一瞬目を細めると冷子の叫びを遮り言葉を続けた。
『冷子さん、考えてみてください。貴方は確かに今、美しい。ですが、数十年後もその美しさを保っていられると思いますか。答えは、否でしょう。その年齢にあった美しさというものは確かにあります。ですが、私の考えを言わせてもらえば、それは一番美しかった頃の名残を残した、そう例えれば崩れていく砂の城のようなもので、若さを伴う美には及ばないと思います。』
 白石は人間の女性に対する身勝手な美の理論を展開していく。冷子は人の美しさは年を取ってから真価が問われると考えていた。それまでの人生経験の積み重ねが外見に蓄積されその人それぞれの味を作り出していく。確かに自分の美しさに自信はあるし、それなりの努力をしている。しかし、自分という人間を外見だけでしか判断していない白石に対して、冷子は今まで以上に嫌悪を抱いた。
『おや、何かいいたそうですね。【それなら、WSZを塗るという過程は余計だ】とでも考えているのでしょう。そうですね、貴方をそのままオブジェにしてしまう、例えば剥製などにして貴方の今の姿を完全に固定してしまうのが一番いいのかもしれません。確かに魅惑的な選択です。そして、それを行うことも私であれば可能だと思います。産毛の一本一本まで現状のまま保存することも。まあ、一般受けするかどうかは別にしてですが。保管場所が限定されますし。』
 (そんなことは考えていない。それに、どちらも嫌だ)と冷子は叫びたかったが、自分の生死を完全に握られているとようやく自覚した今、うかつな言葉もかけられず、とりあえず白石の言葉を聞く。
『ですが、そこには素材そのものの美は表現されているが、製作者自身の美に対する感性が感じられない。私は素材そのものの美の上に、私個人の中にある美を石膏で表現したい。そう、私は芸術家なのだから!!!』
 白石は言葉を一端切り、興奮で弾んだ息を整え始めた。
くだらない言葉の羅列と死に対する恐怖に絶えかねていた冷子だが、白石の戯言が一段落ち着いた事を確認し、とにかく生き延びるため、上辺だけの謝罪と現実を突きつけることで彼の良識に訴えかけることにした。
「ねえ、白石さん、落ち着いて聞いて。いままで、きついことを言って悪かったわ。でも、それは貴方の成長を期待してのことだったのよ。貴方は会社にとって、いえ、これからの社会にとって重要な人材よ。こんなことで人生を棒に振ってどうするの?貴方が私を拉致したときの目撃者が必ず警察に通報するわ。確か部長室で出張の挨拶を終えドアを開いたところで記憶が途切れているから、部長、そう、部長が今頃警察に連絡を入れているはずだわ。今のうちなら、まだ罪は軽いはず。私も口添えするから、こんなことは止めて早く私を解放しなさい。」
 冷子の本心を見透かしているかのように、白石はその言葉を鼻で笑った。
『私が会社から高い評価を受けていることについては知っていますよ。何故なら今回の件は、会社の上層部からの依頼ですからね。ああ、もちろん部長も承諾済みです。あなたは、出張先で行方不明になることに決定しています。もう会社としての捜索願の書類的な申請は準備が出来ていますよ。ああ、それから私の研究資金については、貴方名義での不正運用が発覚する予定です。私ではなく貴方が警察に追われる立場になるのです。でも心配は無用です。警察では探し出すことは不可能ですよ、石膏像になってしまえば。』
「そんな、そんなバカな、そんなことって」
『貴方の代わりなど、どこにでもいますからね。仕事のできる人間なんて。それに対して、私のような特殊な技術者、あっ、いや、芸術家は貴重な存在ですからね。ああ、すいません。貴方は貴重な存在です。石膏像として保存する価値があるという意味でね。』
 白石はそこまで喋ると、おもむろに肘まであるナイロン手袋を手にはめ、WSZの粉末を大きな容器に入れる作業を開始した。
「嘘よ、嘘よ、嘘よー!!」
 冷子の悲鳴が部屋に空しく響きわたった。


『さて、今、貴方には筋肉硬化剤を打ってあります。製作が終了するまでは効果が持続するはずです。本来は石膏像の作成に、基礎となるもの、つまり貴方の生死は製作過程上問題にならないのですが、今回は上層部のたっての希望で生きたまま石膏像の作成を始めます。ああ、それから製作過程については映像で記録して提出しますので、そのつもりでいてください。』
 冷子にとって受け入れられぬ現実を白石が坦々と説明する。
『説明はこれくらいにして塗布作業に取り掛かりますよ。』
 説明の間にWSZの粉末を正体不明の液体で溶き終えた白石は、新たな作業に取り掛かることを冷子に告げた。彼の足元には大きなバケツに入れられたドロドロのWSZが完成していた。白石が金属製の掻き混ぜ棒を持ち上げると、纏わり付いたWSZがトローリとケーキのクリームのように垂れていく。絶望的な現状に放心状態だった冷子は、その言葉で現実に戻された。
「いやいやいやーーーーーー。」
 冷子の悲痛な叫びをBGMに白石はリズムカルに作業を開始した。左官が使うようなコテに石膏を何かの液体に溶かしたものを取り、冷子の体に塗りつける。
「ひゃっ、冷たい。」
 石膏の冷えた感触が彼女を蝕んでいく。
 ヌルヌルとした石膏液が重力に引かれて冷子の白い肌の上を垂れていく。その異質な感覚が冷子に鳥肌を立たせる。しかし、それも一瞬で白石は垂れて行く石膏を素早くコテで引き伸ばす。その手際は機械を思わせるほど正確で適切だった。
『本来、石膏が固まるときには熱を発します。しかし、WSZは基礎となる有機物の変異を最低限に押さえるため、熱の発生を極限にまで押さえてあります。熱さは感じないはずですよ。これは素材の固化を無理なく行うためには有機物の組成の安定が不可欠だったためです。』
 確かに冷子は石膏の不気味な冷たさ以外の温度の変化を感じる事はなかった。もちろん、冷子にとってはどうでもいいことだったが。
 喋りながらも白石の作業は止まらない。足の指の造形については小さなコテを使い、細かい部分まで塗りつけを行い、形を整える。引き締まった脹脛、柔らかそうな太腿も石膏で覆われ、ムラを伸ばし塗りつける。冷子の恥かしさからピンクに染まった肌は着実に白い粘液質に取って代わられていった。尻部の塗布では様々なコテを駆使しながら、彼の理想と冷子が初めから持つ生々しさとの接点を求めるかのように忙しく作業を行う。
 彼女の下腹部を飾っていた薄い若草も石膏の中に消えていった。今や彼女の腰から下は完全に石膏で覆われている。ぬらぬらとした物に覆われつつある美しい裸体。固まりつつある、すらりと伸びた、引き締まった脚部。いまだ、ぬめりを残す尻から腰にかけた魅惑の曲面。そして、恐怖が色濃く見える潤んだ瞳。一息つきながらそれを改めて眺め、自分が塗布をしているにもかかわらず白石はゴクリと唾を飲み込んだ。


『どうです、ご気分は。そろそろ、足先のほうから固化が始まっていると思うのですが?』
 叫び疲れて黙ってしまった冷子に、作業を一時中断し休憩していた白石が声をかけた。
「えっ、あっ…足の、感覚が、ない?」
先ほどまでは筋肉を動かせないだけだった足が、今改めて確認すると感覚すら失われていることに冷子は愕然とした。
『どうやら、うまく反応が進んでいるようですね。本来であれば体内に異物を入れられるような激痛が固化には伴うはずですが、WSZの固化反応の過程で麻酔の役割を果たす物質が生成されるので痛みは伴いません。偶然の産物でしたが、こんなところで役に立ちましたね。最初に言っておくべきでしたか。すいませんね。』
 冷子はその信じがたい現象を目の当たりにして、白石に哀願の言葉を、最後の望みを託して投げかけた。
「もう塗るのはやめて。石膏像になんかなりたくない。お願いします。助けてください。」
『貴方が常々言っていた【会社のために生きろ】を実践できるんだからいいじゃないですか。そうそう、完成後の貴方の展示場所は、正面玄関入ってすぐの今は台座だけがあるあそこに決まっていますから。会社の顔といえるところに展示されるとはさすが玲子さんですねぇ、クックックックッ。これは僕も気合を入れて製作をがんばらないと。さあ、無駄話はこれくらいにしてと。』
「お…願い…だ…か…ら…。助けて…。」
 涙ながらの冷子の願いは聞き入れられることはなく、白石は石膏の塗布を再開した。
 乳房の塗布にあたり、白石はその独特の丸みを失わないように慎重に慎重を重ねて塗りつけを行った。冷子の大きな双球は、衣服の押さえが取り除かれてもボールのような丸みを失うことなく存在し続けている。その頂点に立つ乳首は、石膏の冷たさからか、それとも恐怖に伴う緊張からか、鋭く突起していた。白石はその美しい造形に自分の解釈を加えながら以前の美しさを損なうことなく形を整えていった。また、鎖骨の部分では白石のこだわりからか、乳房以上に慎重に塗りつけをおこなった。
 肩、腕、手、手の指と作業は着々と進む。(固化後の重ね塗りはいかにWSZといえどもひび割れの原因になるため、余計な時間をかけるわけにはいかないのだろう)と冷子は失われつつある感覚に絶望しながらも白石のその動きに感嘆していた。
(今、私の手の指は石膏で完全に覆われ真っ白になっていることだろう。いつか美術館で見た乙女の石膏像のように。自分にはもう泣くぐらいの自由しかない。まさか、自分が石膏像になるとは…。しかも、こんな男の手によって。いままで、尽くしてきた会社にまで裏切られて。こんなこと思いもよらなかった。私の人生は何だったのだろう。まさか、石膏像になることが転職だったなどと運命は言うつもりだろうか。こんなのは認めない。認めたくない。)もう、運命は変えられないことを悟り、冷子は人生についての思考をループさせていた。
『後少しで完成です。』
白石の言うことを信じれば自分に残された時間はそれほど多くないと冷子は思った。だからといって、何かできる事があるわけでもなく、この段階では早く最後のときが来るのを祈ることしかできなかった。
白石の作業は頭部を除いて完了した。そこで、冷子を慈しむように言葉をかけた。
『これから、顔の筋肉を固定するために再度筋肉硬化剤を貴方に打ちます。もうしゃべることも、表情を変えることさえできなくなります。何か、残された家族に伝えたいこと、石膏像の表情の希望とかがあれば聞いてあげますけれども?そうそう、ご家族には会社に損害を与えた犯罪者ではあるが、これまでの功績を評価して最低限度の保証を特別に与えることになっています。安心してください。』
「お願いです。私を助けて。」
『そうですか。いまの悲嘆に暮れた表情がお気に入りのようですね。』


(プスリッ、そんな音とともに私の首筋に針のようなものが差し込まれた。そして何か異質なものが体内に入ってくる。
〔痛い!!〕と叫ぼうとしたが、声を出すことはできなかった。それどころか瞬きすらできない。何とか声を出そうと悪戦苦闘していると石膏のひんやりとした感触が首筋から顎、頬と這い上がってくる。閉じることのできない目の前で何度もコテが行き来する。ひんやりとした石膏の感触が額に広がった。どうやら、白石は目を最後に塞ぐもりらしい。頭が重くなったことから髪にも石膏を塗布していることがわかる。後は目の塗布を残すだけとなった段階で、白石は私の視界から消えた。扉の開閉する音がしたことからどうやら部屋から出て行ったらしい。
 私には目に映る壁をボーッと見ることしかできない。全身の感覚は麻痺しており、それは既に固化が進み、元の体には戻れないことを意味している。
〔人としての自分が消える〕そんなことを鈍くなった頭で考えていた私の視界に再び白石が現れた。大きな姿身の鏡を持って。白石は私の目から私自身を確認できるように鏡の角度を調整してくれた。
 私は見た。そこに映る一体の石膏像を。全てを白で埋め尽くされたその人物像を私は美しいと思った。そう、ただ美しいと感じることしかできなかった。そして、目の前に白く冷たいものが覆い被さり、私の視界を黒く染めた。)


 A社の玄関に新たな美術品が運び込まれた。その何かに捕らえられたようなポーズ・悲しげな表情は、会社の顔とも言える玄関ロビーに展示するのにふさわしくないと思う者もいたが、会社役員全員一致で購入が決定されたことをすぐに思い出し異を唱えようとはしなかった。[中間管理職の失踪、使い込みの発覚と不名誉なことで新聞を賑わしたA社の上層部としては美術品を置いて風水的に運気を変えたい]という社内発表があっただけに尚更だった。
 石膏像は今日も悲しげに虚空を見つめている。そう、ただ見つめている…。

Fin?

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