今回の文章は、ゲームブックの形式を取っています。「No.○○へ進む」をクリックするとそのナンバーが一番上に表示されます。これはと思う選択肢を選んで、読み進んでください。

 なお、この文章には残酷な表現が含まれています。(石化後破壊など。)そういうのがダメな人は、下記のリンクよりお戻りください。

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 また、もう飽きたという人もここまで戻ってきて、上記のリンクからお戻りください。

 なお、この文章には複数の挿絵がついています。これは複数の絵師の方々に、厚かましくもお願いして描いていただいたものです。絵師の皆様にはここであらためてお礼を申し上げます。

 なお、絵を描いていただく際に、1.小説の挿絵風に白黒で、2.キャラクターの容姿、装備等は大まかなものだけを伝え、それ以外は文章の印象で、とお願いしています。絵師さんによってキャラに違いがあるのは、そのためです。

 なお、例によって下記の文章・絵の転載を禁止します。

 

『地下迷宮の主』

作:冷凍石

 

 

No.79

 そこはこれまでより幅の少し広い通路になっていた。背後には扉が2枚付いているが、どちらも開くことはできない。

 通路は十数歩先で水によって遮られている。壁の質感に変化はない。どうやら水路になっているらしい。水路は北へ向かって長々と延びており、先が見えない。水路の岸には小船が括り付けられており、その手前に渡し守らしいフードの男が佇んでいる。

 あなたはフードの男に話し掛けた。

「ねえ、あなた、この船の渡し守?」

『そうだ。』

「私たち3人を向こう岸まで渡してくれない?」

 少し色目を使いながら渡し守に依頼するあなた。しかし、その返答は予想外のものだった。

『この船を使いたければ、一対一の勝負をしてもらおうか。得物は何でもかまわない。』

 男はそう言い放つと、フードに手を掛け、払いのけた。筋骨隆々の鍛えられた肉体が姿を現す。筋肉の付き方から見て、素手で戦う格闘家と見て間違いないだろう。

 さて、あなたは…

  A.勝負を受ける。     No.125へ進む

  B.別の方法で水路を渡る。 No.90へ進む

 

 

No.80

「ひっ!!」

 そこは大きな円形の部屋だった。天井が大きく開いており太陽の光が差し込んでいる。東、西、南に今入ってきたのと同様な木製の扉がある。床の中心には得体の知れない魔法陣が描かれ、淡い光を放っている。そして正面北側には、あなたに息を飲ませた巨大な白いドラゴンがいびきをかいて眠っていた。ドラゴンの後ろには金色の扉が見え隠れしている。あなたが今入ってきた南の扉は一方通行だったらしく、こちらからは開かない。

 さて、あなたは…

  A.ホワイトドラゴンに近づいた。 No.88へ進む

  B.魔法陣を調べた。       No.115へ進む

  C.西の扉を開いた。       No.151へ進む

  D.東の扉を調べることにした。  No.135へ進む

 

 

No.81

 あなたたち3人は部屋の中に入り、壁を叩いて隠し扉がないかどうか調べることにした。

 トントントン

 壁を叩く音が部屋に響く。しかし、それらしきものは何も見つからなかった。

「もう、気が済んだでしょう。別の扉を調べましょうよ。」

「そうね。」

 自分の勘が外れたことに首を捻りながらあなたは入ってきた扉に手を掛けた。

 ガチャガチャ。

「あれ?開かない!!」

 あなたが何度取っ手を捻っても扉は開こうとしない。いつの間にか鍵が掛かけられていた。サーシャに代わっても扉はびくともしない。

「閉じ込められたようね。」

「どうするんです?」

「どうするっていってもどうしようもないじゃない。」

「何、無責任なこといってんですか。」

 サーシャがあなたとミネアの間でおろおろと行ったり来たりしている。

 突然、天井の一角に穴が空くと大量の水が流れ込んできた。

「ちょっと、どうなってんのよ?」

 見る見るうちに水位は上がり、膝、腰、首へと水面が迫ってくる。

「まずいですよ、これは。」

 すぐに水位はあなたたちの身長を超えた。立ち泳ぎでなんとか息をしているが、このままでは水が天井まで満たされるのは時間の問題だろう。

 あなたが迫りくる天井に目を走らると、水が流れ込む穴以外に、取っ手のついた扉状のものが目に入った。あの扉を開けば脱出が可能かもしれない。

 さて、あなたは…

  A.天井の扉を開ける。   No.107へ進む

  B.このまま、様子を見る。 No.139へ進む

 

 

No.82

 水路の向こう岸に着き、あなたたちが船から降りると、小船はひとりでに戻り始めた。たぶん、船につけられたロープを男が引っ張っているのだろう。

 目の前は対岸と同じく狭い空間となっており北、東、西のそれぞれの壁に金属製の同じような扉がついていた。

 さてあなたは…

  A.北の扉を開いた。 No.137へ進む

  B.東の扉を開いた。 No.113へ進む

  C.西の扉を開いた。 No.130へ進む

 

 

No.83

「名前をいいなさい!!」

『いやでーす。』

『ダメなものはダメです。』

 さて次は何を聞く?

  A.名前を聞く。            No.131へ進む

  B.お菓子はどこから調達したのか聞く。 No.141へ進む

 

 

No.84

「いいわ。勝負を受けるわ。ただし、勝っても負けても向こう岸までは運んでもらうわよ。あなた、勝てばとは言わなかったんだから。」

『もちろんそのつもりだ。』

 あなたは腰の剣を抜いて、上段に構えた。男も一度両拳を付き合わせ、左腕を突き出すように身構えた。

 一対一なら邪魔な横槍が入ることもないだろう。あなたはゆっくりと精神を充実させていく。剣が届く範囲にあなたの気が張り詰めていった。

 あなたはここのところ、格下のモンスターの相手ばかりで、戦闘に関しては少し退屈していたところだった。そのためだろうか、久々の真剣勝負に戦いの血が騒ぐのか、仲間の存在も忘れるほど、あなたの感覚は研ぎ澄まされていた。剣が届く範囲に何が侵入しても、今のあなたなら躊躇なく切り捨てるだろう。

 男の肩の筋肉が僅かに震えた。来る!!そうあなたが思った瞬間、男は突然構えを解いた。

『私の負けだ。』

 男は一撃も拳を繰り出すことなく、己の敗北を認めた。男は信用できそうだが、格闘家は瞬時に戦闘に移ることができる危険な存在だ。あなたは戦闘の緊張を保ったまま、ゆっくりと剣を鞘へと収めた。

『おまえの構えを見ただけで、その実力はわかった。拳と剣が交われば決着はつくだろうが、どちらもただでは済まないだろう。私はこれからも渡し守という仕事を続けなくてはならない。そこまでの覚悟はできない。お前は、瞬時にそこまで決断した。その時点で決着はついていた。』

「じゃあ、約束は守ってもらえるのかしら。」

『いいだろう。船に乗りたまえ。』

 船尾にロープが付いており、男は船を引き寄せ安定を確保した。あなたたちは、ミネア、サーシャ、あなたの順に船へと乗り込んだ。

   No.142へ進む

 

 

No.85

 覗き窓の中には人影が見えるが、暗くてよくわからない。あなたが何度か呼び掛けても、人影に反応はなかった。

 鉄扉には鍵が掛かっているが、あなたが体当たりすれば簡単に開きそうだ。

 そのとき、ドラゴンのいた広間から、風が渦巻くような大きな音が響いてきた。何かが起きているのは間違いない。

 さて、あなたは…

  A.体当たりをして、部屋の中に入った。 No.132へ進む  

  B.広間が気になり、戻ることにした。  No.143へ進む

 

 

No.86

 こみ上げる吐き気を必死で押さえ込みながら、あなたは苦悶に耐えていた。

 仲間の二人が心配して、あなたに近づこうとする。あなたは咳き込みながら、片手を上げて仲間を制止した。

「コホコホ。来てはダメ!!これは真剣勝負なんだから。」

「でも…。」

「絶対ダメよ!!」

 あなたの強い拒否に、二人は一歩引き下がった。

『実力はともかく、武人としての心構えはできているようだな。よかろう、我が最大奥義で決着をつけよう。』

 壁に縋って何とか立っているあなたに、男が走り寄っていく。あなたが身構えるよりも早く、男の右手があなたの額を鷲掴みにした。

『誇り高き女よ。さらばだ。[シルバークロー]!!』

 男は片手で額を掴んだまま、あなたの体を頭上へと放り投げた。足が地から離れる。あなたは空中で身体をひねり、何とか受身を取って立ち上がった。

「くふっ!!奥義って言った割にはたいしたこと…、これは!!」

 足が指先から痺れたように感覚が奪われていく。代わって銀紙を噛むような耐えがたい不快感が襲ってきた。

『奥義[シルバークロー]は、特殊な打撃を与えることで、原子の構造を作り変える。お前の体は、足元からじわじわと銀に染められ、銀の像となるのだ。』

 男が語るとおり、銀色の輝きが剥き出しの脹脛を舐め、さらに上へ広がろうとしていた。その表面からは毛穴や産毛が消え去っており、滑らかな曲面が金属特有の光沢を放っている。

 銀化はムッチリとした太腿を舐め、鎧に隠れた下腹部に痺れと不快感をもたらした。引き締まった腹筋が、金属の固まりと化していく。

「ごめん、私はここまでのようだわ。でも、かたきを討とうなんて考えないで。これは尋常な勝負だったの。私の誇りを汚すような真似だけは絶対に止めて。」

 柔らかな丸みを帯びた乳房がメタリックな輝きに染められていく。あなたは、苦痛と恐怖を押し殺して、仲間の暴走を止めようと言葉を搾り出した。

「わかりました。約束します。」

 あなたの気持ちを理解しているのだろう。ミネアとサーシャはあなたに心配を掛けまいと何度も何度も頷いている。

 あなたと仲間のやり取りをじっと見守っていた男が、ミネアに向かって声を掛けた。

『いい事を教えてやろう。その女の銀化は処置がよければ簡単に解くことができるはずだ。大きな町の魔道研究所にでも運び入れてみることだな。』

 銀化の波が、鎖骨の窪みで一度スピードを緩める。

「なぜそんなことを教えてくれるの?」

 咽喉が銀と化す前に、辛うじてあなたは声を出した。

『ここで消えるには惜しい存在だと思ったからさ。』

 銀化が首を伝い、顔を金属の彫刻へと変えていく。強い意志を秘めた瞳は銀で染められ、金属の無機質な輝きに取って代わられた。あなたの意識はそこで途絶えた。

 真紅の鎧を装備した銀色の女神像。その表情は自信に満ちており、辛うじて立ち上がった苦しげな姿勢にもかかわらず、力強い印象を与えている。

 残念ながらあなたの冒険はここで終わった。

   THE END

 

 

No.87

 あなたの腕に現れた赤い湿疹を見たミネアは、いきなりあなたに向かって呪文を唱えた。

「いけない。『カチカチ、ガチガチ、カチカッチン、ピッキーン』」

 突然、あなたの自由が奪われたかと思うと、棒立ちのまま空中に浮かび上がった。足元から円柱状に氷が固まっていく。いきなり体の自由を奪われ、あなたは冷たさを我慢しながらミネアに抗議した。

「なっ、いったい何を?」

「どうやら、あの死体は赤死病にかかっていたようです。短時間で手の甲に表れる赤い湿疹。無臭の遺体。まず、間違いありません。」

「赤死病?!」

 あなたはその病名に心当たりがあった。『赤死病』。現在の治癒法では、直すことの出来ない死病。接触で広がる感染率の高い病。

「じゃあ、私はもうダメなのね。」

 絶望があなたを包む。氷はいつの間にか太腿を覆い尽くし、鎧の上から下腹部を舐めようとしている。

「諦めないでください。確かに不治の病ですが、氷漬けにして新たな感染と病魔の進行を止めます。これしか今は方法がありません。」

「そんなことって。」

 方法としては理解できるが、心情的に納得できなかった。最善の方法であることはわかる。しかし、期限が不明な氷漬けには、恐怖心しか湧き上がってこない。そうこうしているうちに、氷は首から下を完全に覆っていた。

「安心してください。必ず、必ず、病を直す方法を見つけ出しますから。それまでは静かに氷の中で眠っていてください。」

 目の前を氷が覆っていく。氷が厚くなり外界の景色が歪むと共に、あなたの意識は一抹の不安と共に深い眠りについていった。

 ビキニの鎧に身を包むあなたは円柱状の氷に包まれ眠っている。透明度が高いため、不安で僅かに歪む表情も詳細に確認できた。しかし、いつ氷の縛めが解けるかは、誰にもわからない。

 残念ながらあなたの冒険はここで終わった。

   THE END

 

 

No.88

 ホワイトドラゴンはよほどグッスリ眠っているのか、あなたが近づいても起きようとはしない。あるいは意にも介していないだけだろうか。

 背後から近寄ってきたミネアが、あなたの剥き出しの脇腹を肘で突付いてきた。

「ちょっと、近寄りすぎですよ。ドラゴン族相手は私たち3人だけでは荷が重過ぎます。ホワイトドラゴンはドラゴン族の中では下等と言われていますが、三人という少人数では全力で戦って五分五分でしょう…。」

 サーシャも同じ意見なのだろう。ドラゴンを不安そうに眺めている。

「わかっているわよ。」 

 さて、あなたは…

  A.ホワイトドラゴンの目に剣を突き立てた。 No.149に進む

  B.気付かれないうちに離れた。       No.94に進む

(絵:ぶろんずさん)

 

 

No.89

 子供の遊びに付き合っている暇はない。

「そんな暇ないから。ごめんね。」

「ちょっと、いいんですか?」

 ミネアがあなたの脇腹を突っついた。サーシャも心配そうに、少女とあなたの顔を何度も見比べている。

「子供は小さいうちからしつけとかないとね。」

 入ってきた扉から出ようとしたあなたたちだったが、いつの間にか少女が先回りして通せんぼをしていた。

『ブーブー!!おねえちゃんの意地悪!!』

『美少女二人にこの仕打ちは許せません!!』

 少女達は互いに頷きあうと、右手をあなたに向かって突き出した。

『そんなおねえちゃんなんか、チョコレートになっちゃえ!!』

『甘い一時を味わってください。』

 シュビュビュビュビュ!!

 小さな二つの手の平から光が迸り、あなたの剥き出しの腹に吸い込まれていった。

「えっ?何これ…、気持ち悪い…。」

 咽喉の奥から甘ったるい何かがせり上がってくる。あまりの気持ち悪さに膝をつくあなた。

「だっ、大丈夫ですか?あなたたち、何を…。」

「けほっ、けほっ。」

 ミネアの詰問を遮るように、あなたの口から何かが吐き出された。それは液状のチョコレートだった。チョコレートは床にへばり付くと瞬時に固まってしまう。

「何が、起こっているの?」

 ミネアとサーシャは目の前の現象に付いていけず、手を握り合ってあなたの身に起こる変化を見詰めている。

 あなたの露出した肌と髪が、徐々に褐色へと変化していく。息苦しさから両手で咽喉を掻き毟っていたあなただったが、褐色が濃くなるにつれて動きが緩慢になり、ついには動かなくなってしまった。しかし、変化はそこで止まらず、色合いはさらに深くなっていく。

「そんな…。」

 ミネアは床を見下ろし絶句していた。そこには、等身大のチョコレート像となったあなたが、手足を投げ出した無防備な姿勢で床に転がっていた。見ようによっては、真紅のビキニ状鎧が贈り物のリボンに見え、状況にそぐわぬ華やかさを醸し出している。

『お姉ちゃん。美味しそうな体になったね。』

『ほんと、食べてしまいたいです。』

 無気味な言葉の後、少女達はあなたの手の指を掴むと、未だ唖然と立ち尽くすミネアとサーシャに警告を発した。

『残りのお姉ちゃんたち、もし何かしようとしたら…。』

『チョコレートって脆いから、このお姉さんがどうなるかわかりませんよ。』

 手馴れた手つきで少女は、ビキニの胸当てを取り外してく。

『この胸は舐め応えがありそうだって、目を付けてたんだ。』

『あっ、ずるいです。私も狙っていたのに。』

『うーん。それじゃあ、私、右胸だけでいいや。』

『なら、私は左胸にします。』

 二人の少女は、横に寝かされたチョコレート像の両脇にしゃがみ込むと、ゆっくりと顔をチョコレートの胸へと近づけていく。

『『いただきまーす。』』

 ペロペロペロ。

 チョコレートと化した胸に少女達はむしゃぶりついた。小さな赤い舌が頂点の突起を中心に螺旋を描いていく。少女の唾液がチョコレートの表面を溶かし、可憐な舌が舐め取っていった。もちろん、チョコレートになったあなたは、何の反応も示さない。

 壁から発するバターの香りに混じって、チョコレートの甘だるい香りが部屋の中に立ち込めていった。

   No.106へ進む

(絵:あおばさん)

 

 

No.90

「遠慮しとくわ。無駄な戦いはしたくないもの。」

 あなたがそう答えると、男は残念そうにフードを被り直した。その姿があまりにも寂しそうで、あなたはちょっとだけ心が痛んだ。

「どうするつもりですか?確かに勝負をするのもどうかとは思いますが。船が使えないとなると…。」

 ミネアが心配そうに真っ直ぐに伸びる水面を眺めながら話し掛けてきた。

「泳げばいいのよ。泳げば。」

 そう言って、あなたは水路へ飛び込んだ。リーダーがまず見本を見せる。そう考えての行動だった。

 ドボン!!

 あなたは泳ぎに自信があった。今の装備は泳ぎの妨げにはならない。

 しかし、その魚の如き腕前を見せることは、結局できなかった。あなたの体は水に触れると同時に石化し、二度と浮き上がることはなかったのだから。

 水路に満たされた液体は、石化液だった。石化液はあなたを一瞬の内に石へと変えると、見た目以上に深い水路の懐へ招き入れた。ゆらゆらと揺れながら沈んでいく真新しい石像。水路の底にたまったヘドロを僅かに巻き上げ、石像は水路の底に横たわった。舞い上がったヘドロが表面に降り掛かり、薄っすらと層を作っていく。

 あなたは薄暗い水底で静かに眠っている。仲間たちがその後どうしたか、あなたが知ることはないだろう。

 残念ながらあなたの冒険はここで終わった。

   THE END

 

 

No.91

「何かしらね、これ?」

「ちょっとまってください!!そんな不用意に…。」

 あなたの体が完全に魔法陣に入った途端、神秘的な青い光が禍禍しい赤へと変わった。驚いたあなたは慌てて魔方陣から出ようとしたが、目に見えない壁に阻まれ出ることができなかった。

「何よ、これは?」

『ようこそ、異界の者よ。』

 得体の知れない不気味な声があたりに響いた。その声は外のミネアとサーシャにも聞こえたらしく、キョロキョロと辺りを見回している。

『わしは異界の召喚士じゃ。そなたに頼みがあるのじゃ。なに、魂だけでいい。こちらに来てもらうぞ。』

「ちょっと、何勝手なことを言ってんのよ!!」

 声は言いたいことだけいうと押し黙った。魔法陣がいつの間にか消え去っている。不気味な静寂を嫌い、文句を言い続けていたあなただったが、すぐに変化が訪れた。

   No.129へ進む

 

 

No.92

 通路は先程と同じように左へ緩やかにカーブしており、西壁に設置された一枚の扉で行き止まりになっていた。

 あなたたちは、扉を開き中へと入った。

   No.134へ進む

 

 

No.93

『ねえ、ねえ…。』

『もう、…たら。』

 扉の向こうから、誰かが話をしている声が聞こえてくる。あなたはいつでも剣を抜き放てるよう身構えながら、慎重に扉を開いた。

 甘ったるい香りが鼻腔をくすぐる。それと同時に二人の少女の声があなたたちを出迎えた。

『お姉ちゃんがいっぱい来たー!!いらっしゃーい。』

『いらっしゃいませ。どうぞゆっくりしていってください。』

 そこは奇妙な部屋だった。部屋全体がお菓子でできている。壁はクッキー、床は煎餅、天井はケーキのスポンジで覆われており、板チョコのテーブルが部屋の中央に置かれている。そして飴細工で作られた椅子の上に、真っ白な肌に真っ白な髪、純白の服という砂糖菓子のように可憐な少女が二人座っていた。少女は容姿が瓜二つで、あなたには見分けがつきそうにない。

 あまりにも場違いな風景に、あなたたちはあっけに取られ声も出せないでいた。興味深そうにあなたたちを見ていた少女たちだったが、動きのないあなたたちに飽きたのか、椅子から降りてこちらに近づいてきた。

『あそぼ!!あそぼ!!ねえねえ、遊ぼうよ!!』

『退屈していたんです。遊んでくださいませんか。』

 少女二人があなたの目の前で上目遣いにお願いをしている。

 さて、あなたは…

  A.断って、部屋から出た。       No.89へ進む

  B.少女達に付き合い、遊ぶことにした。 No.119へ進む

(絵:あおばさん)

 

No.94

 あなたが足を忍ばせて広間の中央に戻ると、魔法陣が今まで以上に強い光を放っていた。

 その神秘的な光に興味を持ったあなたは、魔法陣に近づいていった。

   No.115へ進む

 

 

No.95

 さて、これからどうするべきか?

  A.西の扉を開いた。 No.120へ進む

  B.東の扉を開いた。 No.113へ進む

 

 

No.96

 さらに道なりに進むと、円形の広間に出た。広間の半分は石の枠で仕切られ、乳白色の液体が蓄えられていた。液体の表面からは湯気が立ち昇っている。

 部屋の真中に看板が立っている。あなたたちはそれを読んだ。

『温泉名:石の湯。効能:美肌、肩こり、皮膚病、骨折、ストレス、その他多数。石化することにより、すべての悩みから解放します。』

 看板の文字を読み終えたとき、あなたは体の自由を奪われていることに気が付いた。

   No.136へ進む

 

 

No.97

「せっかくだから、交換するわ。」

 あなたは愛用した剣に軽く口付けをして別れを告げると、少女の一人に手渡した。そして、もう一人の少女から新たな剣を受け取る。

 軽い。それがその剣を受け取ったあなたの最初の感想だった。まるで自分の腕の一部であるかのように、まったく重さを感じさせない。試しに精神を集中させて剣を振ると、刀身から冷気がこぼれはじめた。

 これは掘り出し物だ。伝説の魔剣、冷刀『光線』に間違いないだろう。伝承によれば、これに斬り付けられたものは、相手が何であれ凍り付かすことができるという。武器収集家としては垂涎ものの逸品だった。

(将来、あなたは敵と戦う際に、剣の名を聞かれることがあるかもしれない。その場合は選択肢を無視し、その文章内にある敵の名前をクリックすること。そうしないと冷刀『光線』は本来の力を発揮することは出来ないだろう。)

「ありがとう。これは私にとって最高の贈り物よ。」

 あなたは思わぬ掘り出し物に顔をほころばせ、二人の少女に礼を言った。

   No.126へ進む

 

 

No.98

「たとえ何者であろうと相手は泣いているのよ。助けてあげないと。」

 あなたは尻尾の一つや二つで、自分の考えを変えるつもりはなかった。

「しかし…。」

 ミネアはまだ何か言いたそうだ。あなたは少し考え込んだ後、口を開いた。

「とりあえず、何があってもいいように後ろで構えていて。」

「…わかりました。」

 ミネアは少女をチラリと見ると、杖を両手で握りいつでも魔法を詠唱できるよう構えを取った。サーシャもその後ろでコクリと頷く。

 少女はあなたたちの存在に気付いていないのか、最初に見たときと同じように泣き続けている。

「ねえ、どうしたのかな。お姉さんに話してみない。」

 あなたは優しく少女に話し掛けた。少女は肩をピクリと震わせ、おずおずとこちらを見る。

『クスンクスン。あのね、あのね、知らないおばさんがきてね。お母さんとはぐれてね。いつの間にかここにいたの。扉がね。押しても押しても開かないの。』

 鍵は掛かっていなかったはず、そうふと思ったあなたは、少女の体をもう一度見て納得した。少女の身長では取っ手に手が届きかねたのだろう。それに内に開く扉だから、押したのでは万が一にも開く可能性はない。

「結局、話をまとめると、ここから出たいってわけね。」

『うん。そうなの。出られればね。すぐそばにお母さんがいるからね。大丈夫なの。お母さん、私を探しているの。』

 そうと判れば話は簡単だ。あなたは少女の手を引き部屋の出入り口までくると、ゆっくりと扉を開いた。

「これでいいのかな。」

『ありがとう。これでお母さんに会えるの。ありがとう。』

 そういうと、少女はあなたの手を振り解き、部屋から走り出ていった。

「あっ、ちょっと…。」

 あなたが少女の後を追って部屋を出ると、広間へと続く西の扉が開いており、少女の尻尾が中へと吸い込まれていった。興味を持ったあなたは、それを追って広間へ向かう。仲間の二人も、その後を追った。

   No.105へ進む

 

 

No.99

「あなたたち、名前は?」

『秘密でーす。』

『名前は喋ってはいけないことになっています。』

 さて、次は何を聞く?

  A.名前を聞く。          No.83へ進む

  B.いつからここに居るのかを聞く。 No.124へ進む

 

 

No.100

「いやー!!石、石、いやー!!」

 突然、ミネアが叫び声を上げ始めた。元々強い魔力を持っていたため、暗示の効きが浅かったのかもしれない。

「なんで、みんな平気な顔して湯につかっているんですか。石になっちゃうんですよ!!」

 ミネアが興奮して叫んでいる。しかし、あなたにとってそれはどうでもいいことだった。サーシャも気にすることなく、湯船に首まで浸かってくつろいでいる。

「いやっ!!足が石になっていて動けない。そんな、石化が湯船から出ている部分にも影響して…。」

 そうすれば石化が抑えられるとでも思ったのか、石化と生身の境界をミネアは必死に撫でていたが、もちろんそんなことで石化は止まらない。

「いやです。こんなの嫌です。石化が止まらない。そうだ。サーシャさんの祈りなら…、ねえ、サーシャさん!!聞いていますか?サーシャさん!!」

 あなたの意識はゆっくりと暗闇に沈み込もうとしている。それは、これまで感じたことのない心地よさで、ミネアの必死の叫びも子守唄のように聞こえていた。

「いや、あああ…ああ…、石に…石になんて…なりたく…ない…です。だ…れか…たすけ…。」

 石化が咽喉にまで及んだのだろう。ミネアの声が途切れ途切れで聞こえてくる。

「ああ…、ああ…。」

 あなたは自分が今、どういう状態なのかわからなかった。ただ一つだけ、わかることがある。それは…、あなたが今…、とても幸せだということ…。

 残念ながら、あなたの冒険はここで終わった。

   THE END

(絵:ぶろんずさん)

 

 

No.101

 得体の知れない相手なら遠慮することはないだろう。あなたは剣をすっぱ抜くと、大きく振り被り、少女目掛けて振り下ろした。

「あれ?」

 手応えがない。それどころか少女に刃が触れる瞬間、少女の姿は掻き消えていた。

 グオオオオオオ!!

 突然、凄まじい叫び声が西の広間から聞こえてくる。あなた達は何事かと広間へと向かった。

   No.143へ進む

 

 

No.102

 所詮相手は石像。人間のすばやい動きにはついてこられないだろう。そう考えたあなたは、息を整えると台座目指して駆け出した。

 石像もあなたの動きにあわせて集まってくる。どうやらあなたを取り囲むつもりらしい。あなたは足をさらに速め、石像の囲みを突破した。

「私の足を舐めないでね。」

 そういって、チラリと後ろを振り向くと再びスピードをあげる。台座まであと少しだ。しかし…。

 気の急いていたあなたが、光のカーテンを何気なく跨いだとたん、あなたの体は装備ごと石と化していた。

 ドサリ

 石と化したことで脆くなった装備や装飾が次々と地面に落ちていく。やがて、真っ白に染まった裸身が迷宮内に曝け出された。

 自慢だった胸。艶かしいうなじから背中にかけてのライン。きゅっと引き締まったお尻。爪の先から産毛に到るまで、そのすべてが真っ白な石と化している。

 新たな石像は以前からあった十体の石像の隣に並ぶと、11体目の石像として新たな訪問者を待つことになった。

 ミネアとサーシャは突然の出来事に我を失い、石像と化したあなたをじっと見守ることしかできないでいた。

 残念ながらあなたの冒険はここで終わった。

   THE END

 

 

No.103

 窓から中を覗いてみると、様々な武器が所狭しと並べられていた。どうやら、武器庫として使われているらしい。

 魔力を秘めた武器があるかもしれない。そう考えたあなたは、期待に胸を躍らせながら扉の中へと入っていった。

   No.114へ進む

 

 

No.104

「あなたたちの知っている迷宮の主のことを教えてもらおうかしら?」

『えー、そんなの知らないよ。』

『わかりません。』

 さて、次は何を聞く?

  A.いつからここに居るのかを聞く。 No.124へ進む

  B.迷宮の主の事を聞く。      No.144へ進む

 

 

No.105

 広間に戻ったあなたは、一歩踏み出したところで足を止めた。後ろから追いかけてきたミネアが、急に止まったあなたの背中に突きかかる。

「どうしたんですか?」

 あなたの顔を見て、その目線を追うミネア。それを見て彼女は息を飲んだ。

 ホワイトドラゴンが目覚めていた。ドラゴンは首を上げ、真っ直ぐにこちらを睨んでいる。あなたたちは、蛇に睨まれた蛙のように動くことができない。不思議なことに少女の姿が掻き消えていたが、それを探す余裕は今のあなたにはなかった。

 ドラゴン相手に戦うのはそれなりの準備が必要だ。今回は迷宮、しかも旅先での依頼ということもあり、そんな準備は当然していない。万全であったとしても返り討ちにある冒険者達は数知れず。準備なき戦いは不意打ちでもしない限り敗北しかないだろう。もっとも、避けられないとなれば戦うしかないのだが。

 ズズーン。

 ドラゴンが体を起こした。山が動いたかのような錯覚に捕らわれるほど、空気が震え地面が唸る。その姿は生命力に満ち溢れているせいだろうか、実際の大きさよりも巨大に見えた。純白の鱗で覆われたその姿は、神々しいほど美しい。そして、美しいだけにその内に秘めたる強さを見るものに予感させた。

「立ち上がったってことは…。」

「戦うしかないでしょうね。」

 無駄かもしれないが、座して滅びを待つつもりはない。あなたは覚悟を決め、剣に手を掛けた。ミネアも杖を両手で握り、サーシャは聖歌を歌うために跪く。

 しかし、ドラゴンは予想に反して、こちらに襲い掛かっては来なかった。僅かに体を西に寄せると、再びその場でうずくまり、首を背後に向け、またこちらを見詰めるという動作を二、三度繰り返す。どうやら黄金の扉を通れと言っているようだ。

 ここは逆らわない方が身の為だろう。あなたたちは相手を刺激しないよう平静を装って黄金の扉へ向かった。

   No.112へ進む

(絵:ぶろんずさん)

 

 

No.106

『ぷはー、もうおなかいっぱい!!』

『お姉ちゃんの胸、あんなに大きかったのに、ペッタンコになっちゃったね。』

 口の周りをチョコレートだらけにした少女が、少し膨らんだお腹をさすりながら少し下品に息を吐き出していた。もう一人の少女は、あなたの胸を指差して笑っている。

『おねえちゃん、胸が大きくてよかったね。本当なら腕の一本も食べちゃうところなんだけど、今回はこれくらいで許してあげる。』

『チョコレート化はそのうち解けます。どこへなりとも行ってください。』

 少女二人はハンカチで口を拭うと、東の扉から手を繋いで出て行った。仲間の二人が慌ててチョコと化したあなたに近寄っていく。

 程なくして、あなたは目を覚ました。

 仲間たちの心配げな顔が飛び込んでくる。その顔を見ながら、あなたは自分の体に起こったことを思い出していた。

「たしか、子供二人にチョコレート…。そうだ、あの双子はどこいったの?」

「…。」

「…。」

 しかし、二人はその問いに答えることなく、黙り込んだままじっとあなたを見詰めている。あなたはようやく二人の視線が自分の胸を見ていることに気付き、ゆっくりと視線を降ろしていった。

「あれっ?」

 そこにはあるべきものがなかった。胸当てのことではない。胸当てが外されていることは、肩紐の感覚がないことで目覚めた時から気付いていた。何度、目を擦っても、瞳に映る光景は変わらない。それに触れようとする手も、虚しく空を切るばかりだった。普段から貧乳とからかっていたサーシャの顔が、微妙にほころんでいるような気がするのは思い過ごしだろうか。

「いやー!!私の胸を返してー!!」

 凄まじい喪失感が、あなたに絶望の叫びを上げさせた。なにしろ、今やあなたの胸は、絶壁にポッチリ二つしか付いていないのだから…。

自慢だった胸が洗濯板になったことは、あなたに精神的なダメージは与えたことはもちろんだが、迷宮探索にも深刻な問題を引き起こしていた。胸のサイズが極端に変わったことで、これまで使っていた鎧はぶかぶかで使い物にならない。詰め物をするにしても、限度があるだろう。装備が整わないまま迷宮の奥を目指すのは自殺行為に近い。胸に合う鎧がこの場に存在しない以上、あなたには入り口へ引き返す選択肢しか残されていなかった。

 残念ながらあなたの冒険はここで終わった。

   THE END

 

 

No.107

 天井が間近に迫る。今は躊躇している場合ではないだろう。あなたは、天井の取っ手を引いた。

 ザバー!!

「プワップ!!」

 扉から新たな青い液体が流れ落ちてきた。あなたは頭からその液体を被ってしまった。

 青い液体は水に触れると白い気体を発生しながら激しく反応した。流入の真下にいたあなたは、真っ先に反応に巻き込まれていく。

「あがあう…。」

 体が重い。そう感じながらあなたは水の中へ引きずり込まれた。

「ひっ、こないで。」

 青い液体は油のように水面を広がっていく。ミネアとサーシャは液体を避けるために壁際へ張り付いていた。しかし、そうしていられるのも時間の問題だろう。液体の流入はまだ続いているのだから。

 一方、水の中に引きずり込まれたあなたは、正体なく水底に転がっていた。体の表面に薄い透明な膜が張り付き、あなたの動きを奪っていた。瞬きすらできない。呼吸すらしていない。しかし、どういう仕組みか、苦しくはなかった。意識もはっきりしている。だからといって、何もできることはないのだが…。

 今、あなたにわかっていることは、あの取っ手が罠だったということだけだった。

 残念ながら、あなたの冒険はここで終わった。

   THE END

 

 

No.108

 突き刺さった剣に興味を持ったあなたは、台座に近づいてみることにした。

 あなたが台座に向かって一歩踏み出すと、石像たちの体が一斉にこちらに振り向いた。それはまるで裸身にペンキを塗っているように滑らかな動きだった。驚いたあなたが足を止めると石像たちも動きを止める。どうやらこちらの動きに対応して動くらしい。

 さて、あなたは…

  A.走って石像をかわし、剣を引き抜く。 No.102へ進む

  B.慎重にゆっくりと、台座へ近づく。  No.128へ進む

  C.やっぱり先を急ぐ。         No.92へ進む

 

 

No.109

 …。

 ホワイトドラゴンは、動きを止めたあなたたちを放置し、再び眠りについている。

 戦いは一瞬で決着がついた。あなたたちは床から突き出た巨大な水晶に取り込まれている。

 ミネアが自分達の周りに暖気の魔法を掛け、アイスブレスを無効化したところまではあなたの計画どおりだった。

 あとはサーシャの歌で切れ味を増した剣を、ドラゴンの腹に突き立てれば勝てるはずだった。

 しかし、あなたたちは肝心なことを忘れていた。ドラゴン族はあなたたち人間よりも遥かに知能が高いということを。

 ドラゴン族の武器は強力なブレスと鋼のような肉体だけではない。独自の系統を持つ魔法を操ることができる。そのことをあなたたちは失念していた。

 ブレスを防ぎ次の行動に移ろうとした途端、水晶があなたの周囲で実体化を始めていた。それが魔法の効果だと気付いた時は、時既に遅し、完全に水晶で包まれ時間を止められていた。

 今、あなたは水晶の中へ武器を握ったまま封印されている。サーシャは祈りの歌を歌い、ミネアは杖を握り締め魔法を詠唱する姿で水晶に包まれていた。一見すると勇ましい姿だが、その表情は三人とも驚愕に染められていた。

 これからあなたたちは、ドラゴンを怒らせた愚か者の末路として、飾られ続けることになるだろう。

 残念ながらあなたの冒険はここで終わった。

   THE END

 

 

No.110

 扉の向こうは再び通路になっていた。通路は真っ直ぐと東に伸びており、突き当りには扉が見えている。あなたは先頭に立って扉へと近づき、中へ入った。

   No.134へ進む

 

 

No.111

 あなたは台座に刺さった剣の柄に手を掛けた。

「これは…。」

 剣の柄を握ったとたん、熱い何かが体内にほとばしった。勢いに任せて剣を引き抜く。台座から開放されると同時に、刃から炎が噴出した。

 これは掘り出し物だ。噂に聞いた炎刀『一割』に間違いないだろう。すべてを断ち割り焼き尽くすという伝説の武器を、あなたは手に入れたのだ。

(将来、あなたは敵と戦う際に、剣の名を聞かれることがあるかもしれない。その場合はその名の書かれた選択肢を選ぶこと。)

 もう、ここに用はないだろう。さあ、探索を進めよう。

   No.92へ進む

 

 

No.112

 扉は純金で非常に重く、あなたの力では開きそうにない。あなたはサーシャと場所を変わり、後ろに下がった。ここに来て、やっとあなたは尻尾の少女がどうなったのかに思い当たった。キョロキョロと周りを見てもどこにもいない。広間内の別の扉に入り込んだのだろうか。

 あなたが探しにいくべきかどうか迷っていると、先に扉の中に入ったミネアから声を掛けられた。

「早く扉に入って!!ドラゴンの気が変わらないうちに、早く!!」

 あなたはその言葉を聞いて少女の探索を諦めた。確かに黄金の扉をくぐるのは、今を置いて他にないだろう。

 扉をくぐろうとした時、あなたは尻尾の少女の声を聞いたような気がした。

『ありがとう。お母さんに会えたの。』

「えっ?」

 慌てて背後を振り返ったが、そこにはドラゴンの巨影以外何もなかった。ドラゴンがこちらを振り返り、じっと見詰めている。その目は慈愛に満ちているようにあなたは思った。気のせいかもしれないが…。

「まっ、いいか。会えたんなら…。」

 あなたは一人納得すると、今度こそ扉の中にその身を滑り込ませた。

 背後でサーシャが扉を閉める音を聞きながら、あなたは気持ちを切り替えていく。

   No.118へ進む

 

 

No.113

 扉の向こうはいつもの通路になっていた。通路は東に伸び、緩やかに左へカーブしている。

 さあ、先に進もう。

   No.146へ進む

 

 

No.114

「どうなってんの?」

 中へ入ると、そこには何もなかった。正面と左右の石壁が寒々しい。窓から見た武器の数々は幻だったのだろうか?

 あなたに釣られて他の二人も部屋の中に入ってきた。

「何もないじゃないですか。夢でも見たんじゃないですか?」

「確かに見たのよ!!」

 バタン!!

 突然、入り口の扉が音を立てて閉まった。あなたは慌てて駆け寄ったが、案の定扉は硬く閉じられ開くことはなかった。

 ドンドンドン!!

「開けなさいよ!!」

 ミネアは魔法を使って、サーシャは力ずくで開けようとしていたが、扉はびくともしない。あなたも体当たりや蹴りを繰り返していたが、疲れるだけだった。

 シュー!!

 脱出の方法を三人で考えていると、天井の一角に開いた無数の穴から濛々と白い気体が吹き出してきた。

「ちょっと、冗談でしょ!!」

「何かのガスです。息を止めてください。」

 三人は慌てて息を止めた。しかし、いつまでも止めつづけることが出来るはずもなく、ガスを吸い込んだあなたたちは次々と床へ倒れ込んでいった。

    No.140へ進む

 

 

No.115

 魔方陣は複雑な幾何学模様を描き、神秘的な青白い光を放っている。

 あなたは…

  A.魔法陣に足を踏み入れた。 No.91へ進む

  B.ミネアに意見を聞いた。  No.127へ進む

 

 

No.116

 道は曲がりくねり、先が見通せない。十数歩道なりに進むと再び看板が立っていた。『引き返せ』。それだけが書いてある。

 さて、あなたは…

  A.看板に従って引き返した。   No.143へ進む

  B.無視してさらに先へと進んだ。 No.148へ進む

 

 

No.117

「あの…。」

『うるさい。あっちへいけ。しっしっ。』

 老人は何が気に入らないのか、迷惑そうな顔であなたたちを追い払おうとする。あなたはだんだん腹が立ってきた。

「そんなに邪険にしなくてもいいんじゃない?美女3人が話し掛けているんだから、ちょっとくらい相手をしてくれてもいいでしょう?」

 老人はあなたの剣幕にしばらくポカンと口を開いていたが、突然腹を抱えて笑い出した。

『ひいひっひっひ、自分で美女とはなかなか面白い娘っ子じゃのう。よかろう、これも何かの縁じゃ。話を聞こう。』

 老人の気が変わらぬよう、ミネアが間髪開けずに口を開く。

「わたしたち、これから迷宮のさらに奥へ、迷宮の主のところへ行くんですが、何かアドバイスをお願いします。」

『これより奥へ行くか。本当はやめるのが一番良い選択なんじゃが、聞きそうにないのう。』

 サーシャがコクリと頷いた。

『忠告じゃ。炎を纏う刃を探すことじゃ。そいつの真の力を引き出すことができれば、迷宮の主を倒せるじゃろうて。確か迷宮内に封印したと聞いておる。』

「炎の刃?」

 武器収拾癖のあるあなたの瞳がきらりと光った。

『今の装備では、ワシのように囚われの身になるか、最悪死ぬかじゃな。ふふふ。』

 老人は自分の足を見ながら自嘲気味に笑った。

『それと、メデューサに遭うかもしれんが、奴は変身能力を持っている。怪しい相手にはくれぐれも気をつけることじゃな。』

「ありがとうございました。」

 あなたは貴重な情報を得た。今後の冒険に役立つことだろう。

 あなたたちは老人にお礼も兼ねて脱出の手助けを申し出たが、迷宮内でまだなすべきことがあると断られた。老人の意志は固そうだ。あなたたちは、老人に再度礼を言うと部屋を後にした。

   No.95へ進む

 

 

No.118

 扉の奥は、従来どおりの石の通路が再び続いていた。ホワイトドラゴンがいる限り引き返すわけにはいかないだろう。

 あなたたちは北へと進んだ。

   No.155へ進む

 

 

No.119

 時間制限があるわけでもないし、先を急ぐこともないだろう。あなたは二人に付き合うことにした。

『わたし、尋問ごっこしたーい。』

『わたしもしたいです。』

「尋問ごっこですか…。もっと、楽しいのにしませんか。」

 尋問という少女らしからぬ無気味な言葉に、ミネアが顔をしかめている。しかし、少女達は意見を変えるつもりはないらしい。

『いやー、尋問ごっこがいい。』

『尋問ごっこは楽しいんですよ。』

 聞きなれぬ遊びだが、ここは少女達の希望を叶えてあげるべきだろう。そう考えたあなたは、頷いて同意した。

「いいわよ。尋問ごっこをしましょう。」

『やったー!!』

『ありがとうございます。』

「わたしは後ろで見ています。サーシャさんはどうしますか?」

 ミネアの言葉に、サーシャは首を横に振って尋問ごっこへの参加を辞退した。二人は後ろで様子を眺めることにしたらしい。 

『私たちが捕虜役するから、おねえちゃんが尋問役ね。』

『どうぞ、はじめてください。』

 さて、あなたは何から質問する?

A.名前を聞く。     No.99へ進む

  B.迷宮の主の事を聞く。 No.104へ進む

 

 

No.120

 西の扉を開くとそこは狭い部屋になっていた。目ぼしい物は何もない。あなたは東の扉へと向かった。

   No.113へ進む

 

 

No.121

「大丈夫?」

 少女の泣き声にいてもたってもいられず、あなたは扉を開いた。

 そこは窓一つなく、家具等も一切置かれていない殺風景な部屋だった。部屋の中心では、幼い少女が床にペッタリと座り込み、両手で顔を覆い泣いている。

「どうしたの?」

 そういって駆け寄ろうとするあなたの腕を、ミネアが掴んだ。

「待って下さい。もっとよく彼女を見てください。」

 あなたはミネアに言われたとおりもう一度少女を観察した。肩で切り揃えた頭髪、小さく可憐な手の平、雪の結晶を固めて作ったように白い肌、透明感のある水色の服とスカート、スカートから覗く小さな踝。すすり泣きにあわせて揺れる真っ白な尻尾…。何も不審なところは…、尻尾?!驚くあなたに、ミネアはこくりと頷いた。

「ただの少女ではないということです。」

 ミネアの言葉にサーシャがゴクリと唾を飲み込む。

 さて、あなたは…

  A.少女に向かって切りかかった。 No.101へ進む

  B.少女に優しく話し掛けた。   No.98へ進む

 

 

No.122

「いいわ。勝負を受けるわ。ただし、勝っても負けても向こう岸までは運んでもらうわよ。あなた、勝てばとは言わなかったんだから。」

『もちろんそのつもりだ。』

 あなたはいつものように腰に手をやって、剣を失ったことを思い出した。仕方なく拳を握り、身構える。男も一度両拳を付き合わせ、左腕を突き出すように身構えた。

 男からの気迫があなたに襲い掛かる。はっきりいって、勝負を受けたもののあなたには勝つ自信がなかった。多分、剣を持っていたとすればいい勝負ができるはずだが、その肝心の剣が今は失われている。格闘も苦手ではないが、男が纏う闘気から推し量れる実力を考えると、役不足としか言いようがない。

 ブン!!

 目の前に迫ってきた拳を辛うじて避ける。どうやら物思いに耽っているうちに男の接近を許していたらしい。

『戦いの中で考え事とは余裕だな。』

 男の拳を避けるのに精一杯で、皮肉に答える余裕もなかった。実力が劣るにもかかわらず不意を突かれては、勝負になるはずもない。仲間たちが見守る中、あなたはどんどん劣勢に追い込まれていった。

『ふん、期待はずれか。』

 男は息も絶え絶えとなって壁に背中を預けているあなた白い腹に、強力な一撃をめり込ませた。

「ぐふっ!!」

 苦悶に句の字に折れ曲がるあなたの体。しかし、本当の苦しみはこれからだった。

   No.86へ進む

 

 

No.123

 ホワイトドラゴンは、まだいびきをかいて眠っている。魔方陣にも変化はない。

 さて、あなたは…

  A.ホワイトドラゴンに近づいた。 No.88へ進む

  B.魔法陣を調べてみた      No.115へ進む

  C.西の扉を開いた。       No.151へ進む

 

 

No.124

「いつからここにいるのか教えてくれる?」

『いつからだろう?』

『ずっと前からでしょうか…。』

 さて、次は何を聞く?

  A.お菓子はどこから調達したのか聞く。 No.141へ進む

  B.知っている迷宮の秘密を吐かせる。  No.150へ進む

 

 

No.125

 ところで、あなたはこれまでの探索で剣を無くしていないだろうか?

  A.もし、無くしていれば、   No.122へ進む

  B.無くしていないのであれば、 No.84へ進む

 

 

No.126

「それでは、これからの冒険の無事を祈っています。こっちの扉から出てください。」

 少女は東の扉を指差している。

「お姉ちゃん、がんばってねー!!」

 あなたたちは二人の少女に見送られながら、手を振ってお菓子の部屋を後にした。

   No.110へ進む

 

 

No.127

「ねえ、ミネア?この魔法陣、なんだと思う?」

「そうですね。召喚用の魔方陣でしょうか?多分、悪質なトラップだと思い…。」

 ミネアは不意に言葉を切った。サーシャもあなたの方を指差して何かを訴えようとしている。

「ちょっとなんだっていうの…よ!!」

 あなたが背後を振り返ると巨大な鶏がいた。いや、鶏と称するにはトカゲの尻尾が相応しくないだろう。魔界に住むという魔獣コカトリスにちがいない。

 コカトリスは、魔方陣から立ち昇る黒い瘴気の中で、徐々に実体化しようとしている。

「いつの間に!!」

 クエエエエエエエエ!!

 間を取ろうとするあなたの予想をはるかに越えた速さで、コカトリスの嘴があなたの脇腹を突き刺した。

 ズキ!!

 鈍い痛みが体に響く。痛みの元に目をやると、傷はそれほど深くないが多量の血が流れ出していた。あなたは脇腹を抑えながら、今度こそコカトリスから間合いを取り、サーシャに治癒の祈りを頼もうとした。

「サーシャ、治癒の祈りを…えっ!!」

 脇腹を押さえる手に違和感を覚え、あなたは再び患部を見た。

 先程まで手の脇から真っ赤な血が流れ出ていたはずなのに、サラサラとした粉末がこぼれ落ちている。あなたはおずおずと手を除けて、患部を見てみた。

 傷口を中心に、そこは灰色に染まり、石と化していた。所々に赤い血が残っていたが、見る見るうちに白い粉末と化して、サラサラとこぼれ落ちていく。石化はインクが染みるようにじわじわとその範囲を広げ、痛みを含めた感覚をあなたから奪っていった。

「いやー!!」

「ダメです!!ここは一端体制を立て直して…」

 体が石になる。その日常ではありえない光景を目の当たりにしたあなたは、恐怖で錯乱して仲間たちの制止を振り切り、叫び声を上げながらコカトリスへと斬りかかっていった。

 クエエエエエエエ!!ゴウウウウウウウウ!!

 コカトリスは一鳴きすると、咽喉の奥から灰色の気体を吐き出した。石化ブレスと認識したときには時既に遅く、あなたはブレスに体を包まれていた。

 ピシ、ピシピシピキ…。

 ブレスによる石化は変化が急速で、肌の表面に細かいひび割れを作りながら、あなたの体を無機質へと作り変えていく。ビキニの鎧も石化の波に飲まれ、石の強度ではその形を維持することができず、ボロボロと崩れていった。

 ブレスが空気中に霧散したころには、剣を振り上げた裸婦像が完成していた。あなたの意識は石化したにもかかわらずハッキリとしている。

 あなたはコカトリスの特徴を思い出していた。コカトリスは嘴、ブレス等で生き物を石化すると丸呑みにして体内で砕きながら消化するという。あなたの記憶を裏付けるように、目の前にいるコカトリスも大きく口を開けてあなたを丸呑みにしようとしていた。

 残念ながらあなたの冒険はここで終わった。

   THE END

(絵:ぶろんずさん)

 

 

No.128

 あなたはゆっくりと一歩を踏み出した。

 石像も一歩あなたに近づく。

 あなたが一歩。

 石像が一歩。

 次第に、あなたと石像の距離は失われ、あなたは10体の石像に取り囲まれた。

「一体何なのよ?」

 10体の石像に囲まれるのは結構な威圧感があった。攻撃があるのかと身構えてみたものの、石像はそれ以上の動きは見せない。試しに、この状態で一歩踏み出してみると、石像の壁もそれにあわせて動いていく。

「とりあえず害はないようだし、気にせずに行きますか。」

 あなたは、石像に囲まれたまま台座を目指した。

 途中光のカーテンにさしかかっても、石像は相変わらずあなたの周りを取り囲んでいた。不思議なことにあなたのいる石像の囲みの中に光のカーテンが現れることはなかった。

 光のカーテンを抜けたところで石像たちはばたばたと床に倒れ付した。それはあまりにも唐突で、あなたは思わず足を止めた。

「多分ですが、この石像たちは光のカーテンを越える道具だったのではないかと。役目を終えたのでただの石像に戻ったのではないでしょうか。」

 事の成り行きを見守っていたミネアが、不思議そうに首を傾げるあなたに自分の推論を披露した。あなたもそんなことだろうと納得する。

 石像を踏み越え、台座に登ると封印されていた剣に手を掛けた。

   No.111へ進む

 

 

No.129

「ちょっと、聞いてんの?大体…。あっ、何これ?何なの、この感じ?体がぶれていく?」

 あなたの目に突然、見知らぬ風景が目に映った。しかし、それはほんの一瞬ですぐに元に戻っていた。

「大丈夫ですか?」

 ミネアとサーシャが心配そうにあなたの顔を覗き込んでくる。大丈夫と微笑み返そうとしたあなたに、また違和感が走る。今度は今の景色と見知らぬ景色が二重になって見えていた。それぞれの世界が、ハッキリしたりぼやけたりを交互に繰り返している。見知らぬ景色の中では、白い髭を蓄えた老人が髭を撫でながらこちらを見ていた。

「だれ、誰なの?やめて!!私を呼ばないで!!」

「しっかりしてください!!」

 うわ言のように言葉を呟き始めたあなたを心配して、ミネアが肩を揺さぶった。しかし、手の感触に驚き、すぐに手を放す。

「そんな…。」

 あなたの体は次第に硬くなり、少しづつくすんだ灰色に染められようとしていた。

「魂が肉体から急に抜き取られると、肉体がその変化に耐えるために石と化す、と何かの本で読んだことがありますが、まさか本当に…。」

 手足はすでに硬い石に成り果てており、今や鎧の下に隠れた胸をじわじわと蝕んでいた。

 あなたの肉体から、力が、いや、それよりももっと重要な何か、そう存在そのものが肉体から抜け出ようとしていた。二重になった景色の入れ替わりは次第に収まり、見知らぬ世界が視界を支配することが多くなっていた。そして、ついに肉体のすべてが消失し、視界は見知らぬ世界で占められた。

 

 あなたは見知らぬ世界にいた。魂だけの存在となっているため、とても心細く、膝を抱えて震えることしかできない。目の前の老人が口を開いた。

『ようこそ。なに、心配しなくても、3日ほど働いてくれれば元の世界に戻してあげよう。ただし、向こうの世界ではどれだけ時間が経っているかはわからんがの。一瞬かもしれないし、数千年かもしれない。体が残っているといいのう、くくくくく…。』

 

 ミネアとサーシャの前には、石と化したあなたの抜け殻が立ち尽くしていた。鎧の赤と灰色の肌が作り出すコントラストは見事だったが、それを評価する余裕のある存在はこの場にいない。

 残念ながら、あなたの冒険はここで終わった。

   THE END

 

 

No.130

 あなたは扉を開けて中を覗きこんだ。そこは何もない狭い部屋だった。扉はあなたが手にしているもの以外見当たらない。

「なにもないなんて、逆に怪しくない?」

「何もないなら、別の道を進むべきだと思います。」

 サーシャはミネアの意見に賛成のようだ。

 さて、あなたは…

  A.部屋の中に入る。 No.81へ進む

  B.北の扉を調べる。 No.137へ進む

  C.東の扉を調べる。 No.113へ進む

 

 

No.131

「さっさと名前をいいなさい!!」

『いやだって言ってるでしょ!!』

『もう、全然楽しくない!!』

 少女達は不快そうにあなたを睨みつけている。どうやら、機嫌を損ねてしまったようだ。

「あっ、その、ごめんね。決して怒らすつもりじゃ…。」

 あなたは、慌てて謝ろうとしたが、少女達は聞く耳を持たなかった。

『言い訳は結構です。』

『いらないゴミはゴミ捨て場に。』

『『ダストシュート!!』』

 足元の床が突然消え、あなたたち3人は底知れぬ闇の中へと飲み込まれていった。

   No.154へ進む

 

 

No.132

 仲間の二人が見守る中、あなたは体当たりで扉を開くとその勢いで部屋の中へと転がり込んだ。

 華麗に受身を取ったつもりだが、いつの間にか硬くて細い何かを左の腕で掴んでいた。あなたは恐る恐る左手に目を向ける。

 あなたの左手は、骨だけになった死体の右足を掴んでいた。あなたの目の前には、半分肉の残った死体が転がっている。

「ひえっ!!」

 あなたはビックリして、骨を放すと飛ぶようにして死体から離れた。改めて周囲の様子を観察すると、そこはベッドと便器だけが置かれた簡素な部屋だった。窓はなく石で囲まれた部屋はまさに牢獄そのもので、死体はベッドにもたれるようにして両足を投げ出していたらしい。

 ここで、あなたはおかしな事に気付いた。臭いがない。死体特有の臭いがまったくない。これほど時間が経った死体なら、扉を開ける前から酷い臭いが漂ってきてもおかしくないはずなのに、乾燥した空気しか漂っていない。

 その時、何気なく見た自分の左手に赤い斑点が浮かんでいることに、あなたは気が付いた。そして、じっと部屋を観察していたミネアも、あなたの目線を追ってそれに気が付いたようだ。

   No.87へ進む

 

 

No.133

 さて、北の扉、東の扉、どちらを調べる?

  A.北の扉を調べた。 No.85へ進む

  B.東の扉を調べた。 No.103へ進む

 

 

No.134

 そこは正方形の小部屋で、人が5人も入ると窮屈な部屋だった。扉は東、西、北にそれぞれ一つずつ付いているが、東西の扉は一方通行だったらしく引き返すことができない。

 グルグルグル。

 唯一開く北扉の向こうからは、獣が咽喉を鳴らすような音が聞こえてくる。

 嫌な予感はするが、あなたたちは扉の中へと足を踏み入れた。

   No.80に進む

 

 

No.135

 扉を開くと小さな正方形の部屋に出た。東西南北それぞれの壁に扉がついている。東南北の扉は鉄製で小窓には鉄格子が嵌められている。

「なんだか、牢屋みたいですね。」

 ミネアは気味悪そうに部屋の中を見回している。

 あなたは…

  A.東の扉を覗いた。         No.103へ進む

  B.南の扉を覗いた。         No.145へ進む

  C.北の扉を覗いた。         No.85へ進む

  D.西の扉を開き、広間に戻った。   No.123へ進む

 

 

No.136

 意識はハッキリしているのに体がピクリとも動かせない。あなたたち3人は、看板を覗き込んだ状態で動きを止めている。声だけは自由に出せるようなので、あなたは隣で看板を見ているであろうミネアに質問した。

「これは、どうなったと思う?」

「そうですね。推測ですが、これまで見てきた四枚の看板すべてを見ることによって、強力な暗示をかけられたようです。」

 絶体絶命の危機にも関わらず、あなたたちは冷静だった。もしかすると暗示の効果かもしれない。

「暗示ねえ。じゃあ、これから私たちはどうなると思う。」

「もちろん、目の前に温泉があるのですから、それに入るんじゃないんでしょうか。」

「人生の最後が、温泉ってのも乙なものかもね。」

 会話に入ってこないが、サーシャも同じ気持ちだろうとあなたは思った。

 体が突然己の意思に反して、動き始める。あなたたち3人は看板の前から離れ、湯船に近寄ると各々が自然な動きで身に付けている装備を脱ぎ始めた。

 カチャカチャ、サラサラ、ゴトリ。

 鎧が触れ合う音や衣擦れの音が、辺りに響く。程なくして三人の裸身が湯煙を背景に姿を現した。

 チャポン…。

 三人は湯煙に目を細めながら、その身を乳白色の湯へと沈めていった。

   No.100へ進む

 

 

No.137

 北の扉を開くと、かび臭いにおいがあなたの鼻をついた。そこは、人一人が寝られるかどうかという狭い部屋だった。部屋の中央には、薄汚れたローブに身を包んだ老人が一人うずくまっていた。その足は鎖で縛られ、球体の錘へと繋がれている。

 老人はあなたたちの存在に気付くと、向こうへ行けと犬を追い払うように手を振り始めた。

 さて、あなたは…

  A.老人に話し掛けた。     No.117へ進む

  B.扉を閉め、西の扉を開いた。 No.130へ進む

  C.扉を閉め、東の扉を開いた。 No.113へ進む

 

 

No.138

 煙が晴れるとドラゴンの偉容が再び現れた。あなたが突き刺した左眼以外、何ら手傷を負っていない。左眼を血で、右目を怒りで赤く染め、全身から白い冷気を吹きこぼしながらこちらを見据えている。

「そんな、あの魔法で傷一つ与えられないなんて…。」

 ミネアの絶望を含んだ呟きは、あなたの心中を代弁していた。不意打ちが効果のない相手に正攻法で勝てるだろうか?その一瞬の迷いをホワイトドラゴンは見逃さなかった。あなたが気付いた時には大きく息を吸い込み今にも口を開こうとしていた。

「ブレスが…。」

 グボワアアアアア!!

 あなたの仲間への注意は、ホワイトドラゴンのアイスブレスに飲まれ、途中で凍り付いた。咄嗟に飛び退いたためブレスの直撃は免れたが、冷気はあっという間に広間の中を充満し、あなたたちの逃げ場を奪っていた。広間はブレスの冷気で白く染まり、あなたたちの姿を覆い隠していった。

 

 冷気が霧散すると、広間はすべてが凍り付いていた。それはあなたたちも例外ではない。

 あなたは凍りつき身動きが取れない状態ながらも、意識が残っていた。鼓膜が凍り付いているせいだろうか?音は一切聞こえない。視界の中にはミネアとサーシャが白い彫刻と化し、身動き一つせずに佇んでいる。大丈夫?そう、声を絞りだそうとした時、視界の外から丸太のようなドラゴンの尻尾が、まるでコマ送りのようにゆっくりとこちらにやってくるが見えた。尻尾はまず小柄なサーシャの脇腹に触れ、めり込み、サーシャの体をガラス細工のように粉々に砕いていった。サーシャの頭部が床に落ちて粉々に砕ける様を、瞬きすらできないあなたはただ眺めることしかできないでいた。続いてミネアの長身が、腰から真っ二つに折られ、床で砕かれ、バラバラになった体が音もなく折り重なっていくのが目に入る。あなたは心の中で血を流し悲鳴と謝罪を繰り返していたが、それは誰にも伝わることがなかった。

 あなたは選択を誤ったのだ。その軽率な行動の報いとして、深い絆で結ばれた仲間たちの最後を見届けなければならなくなった。あなたにとって唯一の救いは、自分もすぐにその後を追えることだろう。ドラゴンの太い尾は、あなたの目の前にまで迫ってきている。

 残念ながら、あなたの冒険はここで終わった。

   THE END

 

 

No.139

 水はどんどん流れ込んでくる。天井まであとわずかだ。それでも、あなたは取っ手に手をかけるのを躊躇っていた。

 あまりにも都合が良すぎる。自分が罠を設置する立場だったとして、あんなところに脱出路を設けるだろうか。そんなことはしないはずだ。あなたは自分の勘を信じ、取っ手のついた扉の使用をぎりぎりまで粘ることにした。

 天井まであと頭二つ分というところで、水が突然引き始めた。すぐに足が床につき、首、腰、太ももと、水面は見る見るうちに下がっていった。水は何処かへ流れ去り、後に残されたのはずぶ濡れになったあなたたち3人だけとなっていた。

「何とか助かったわね。」

「でも、びしょ濡れです。」

 濡れた装備は気持ちが悪く、誰も見ていないからと、あなたたちは服を脱いで裸になった。

温風、ドライ、ホッカホカン

 ミネアが魔法を唱え、水を吸い込んだ衣類を乾かしていく。布が一番少ないあなたの装備が一番に乾き、あなたは手早くそれを身に着けた。まだ、脱出方法を見つけていないので、無駄は承知で再度扉の取っ手を捻ってみる。

 カチリと音がし、取っ手が回った。鍵は掛かっていない。どうやら扉は開きそうだ。

「ねえ、ねえ、扉が開いたわ!!」

「なに寝ぼけたこと言ってんですか。そっちは北の壁ですよ。扉なんて…。」

 そこまで言って、あなたとミネアは顔を見合わせた。慌てて東の壁を見たが、扉は影も形もない。

 どうやら、入ってきた扉が消え、新たな扉が先程の水攻めの間に現れたらしい。

 ようやく、仲間たちの装備も乾いたようだ。さあ、新たな扉を開こう。

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No.140

「うーん。」

 部屋の中は、石膏像と思われる人型のオブジェが数体並べられており、床にこぼれた石膏の跡や細工用の鑿などを見るにつれて、あなたに芸術家のアトリエを思い浮かばせた。

『ようやくお目覚めかな、お嬢ちゃん?』

「誰?」

 声をした方に目をやると豚面をした大柄なオークが、丸太を輪切りにした簡素な椅子に座り、こちらを眺めていた。

 剣を手に取ろうとしたあなたは、自分のおかれた状況にようやく気付いた。壁を背に両腕を鎖と鉄枷によって頭上高く固定されている。両足は自由だが、ブーツは脱がされていた。いや、ブーツだけではない。ビキニの鎧も腰の剣もすべて奪われており、その均整の取れた裸体を晒していた。

 先ほど吸った、ガスの影響だろうか。体に力が入らない。

「ちょっと、何で裸なのよ。そうだ、ミネアとサーシャはどうなったの?ミネア、サーシャは?」

『ミネアとサーシャ?もしかして、これのことかい?』

 あなたには最初、それがなんなのかわからなかった。いや、二体の石膏像であることはわかる。しかし、仲間たちと結びつかない。

 だが、石膏像を交互に見ているうちに、あなたはどこかで見覚えがあることに気付く。いつもあなたの後ろを守ってくれていた二人の姿と、二体の石膏像が重なって見えた。まさか…。あなたの目が自然にオークへと向けられた。

 刻々と変わるあなたの表情を楽しんでいたオークは、目線が自分に向いたことを知り、口を開いた。

『そのまさかさ。お二人さんは石膏で包まれオブジェになったのさ。』

「そっ、そんな!!」

『なに、嘆くことはない。あんたも同じオブジェになるんだからな。』

 オークは石膏の入ったバケツを手に取ると、コテを片手で弄びながら近づいてきた。

「やめて。近寄らないで。」

『お前達、人間の金持ちには変わった奴がいてなあ。生きた人間を石膏で包み込んだ姿を愛でるんだそうだ。一度、生きた人間を型取りした石膏像はどうかと聞いてみたんだが、《中に人が入っていないものに何の価値がある。これぞ、魂の篭った芸術作品だ》なんてことを言っていたな。まあ、なんにしろ、作る側にしてみれば面倒でしかないがね。』

 オークは素早くコテで石膏をすくい上げると、あなたの肉付きのいい太腿に塗りつけた。

「ひっ、冷たい。」

 その不気味な冷たさに、あなたは思わず声を上げた。

『冷たいのは最初だけだ。オブジェに感覚は必要ないからな。第二の皮膚で覆われたあんたは、加工前の面影を色濃く残しつつ、まったく違う存在になる。皆の目を楽しませるオブジェになるわけだ。おっと、その前に動きを完全に奪って置かないと。作業に差し障りがあるからな。』

 そういうと、オークは一端コテを置き、針を取り出してあなたの右乳首を突き刺した。

「痛。」

 僅かな痛みの後、あなたの体は力を失い、瞬きすら出来なくなっていた。

 オークはあなたが動けないことを体の各部を弄ることで確認し、手馴れた手つきであなたの体に石膏を塗りつけていく。手足には幾重にも念入りに石膏が塗られ、厚い層を作っていった。

『手足は厚塗りしとかないと。万が一にも動きを取り戻したら、台無しだからな。』

 それに対して胸や尻に対しては慎重に塗りつけていく。特に秘部についてはわざと秘裂を開くように仕向けながら、小さいコテを幾本も使いながら塗っていった。

『心配しなくても最近の流行で胸や尻、秘部については薄く石膏を塗り、素材のよさをそのまま引き出すのが主流になっているから。それらの部分については、裸身とそれほど変わらんよ。』

 最後に台に登り、あなたの顔にその醜悪な顔を近づけてきた。吐く息の臭さに顔を背けたかったが、今のあなたにはそれすら許されない。

『顔はいつも苦労させられるが、今回は荒々しく塗りつけてコテの跡を残してみようかな。』

 身勝手な台詞と共に、石膏が盛られたコテがあなたの顔に近づいてくる。あなたはそれが目を覆うまでじっと見詰めていた。あなたが視界を奪われた後も、オークはコテの手を休めず、手早く髪やうなじを石膏で覆っていった。体が外気から遮断され石膏の冷たさだけが感覚を支配した。しかし、それは次第に熱を帯び始め、石膏が固まろうとしていることをあなたに伝えた。やがて、熱も冷め、オークが話し掛けてきた。

『よし完成だ。石膏に混ぜてある賢者の石を粉末状に砕いたもののおかげで、石膏に包まれたあんたは時間の概念から取り残されるため、排泄の心配はしなくていい。ただ、精神の疲弊については考慮していないから、ちょっと辛いかもしれないな。もっとも一線を越えて狂っちまえば、それも関係ないが。』

 闇の中で、自分の体がどこかへ運ばれようとしていることを知る。あなたは身動き一つ出来ない闇の中でいつまでも考えていた。

 自分は正気をいつまで保てるだろうかと…。そして、自分は生きているといえるのだろうかと…。

 残念ながらあなたの冒険はここで終わった。

   THE END

 

 

No.141

「このお菓子はどこから調達したの?」

『えっ、材料なら身近にあるよ。今もすぐそばにあるよ。』

『実演して見せましょうか。』

 そういうと、少女達はあなたの背後で様子を見ていたミネアとサーシャに目を向けた。

『クッキー食べたい!!』

『グミが欲しいですね。』

 少女達の右目がキラリと光ったかと思うと、ミネアとサーシャ目掛けて光の筋が迸り、それぞれの体に突き刺さった。

 それは一瞬の出来事だった。ローブと三角帽子から僅かに露出していたミネアの白い肌が小麦色に染まっている。木目細かだったその表面はざらつき、甘い匂いを発している。理性的だった瞳も肌と同じ色と質感に変化している。ミネアは巨大な一つのクッキーと化していた。一方サーシャは、オレンジ色の大きな一個のグミと化していた。

 あなたは目の前で起きた出来事を理解するのに幾許かの時間を要した。

「そ、そんな、こんなの何かの間違いよね。」

 あなたが変わり果てたミネアに手をかけると、ミネアの体は突然音を立てて崩れ始めた。

 ガラガラガラ…。

「いやー!!」

 ミネアの体が一口サイズのクッキーになって、あなたの足元に広がっていく。あなたは崩壊を抑えようとミネアに抱きついたが、それは崩壊の加速を引き起こしただけだった。

 カラン。

 最後の一枚がこぼれ落ちると、あなたの足元には元ミネアだったクッキーが山積みになっていた。

「うそ、うそよ…。」

『だめだよ、ちゃんと時間をかけないと崩れちゃうよ。まあ、こっちのほうが食べやすいけどね。』

 一人の少女が一枚のクッキーを手に取ると、口の中に放り込んだ。

『ですよね。』

 もう一人の少女が巨大グミと化したサーシャに手を伸ばす。

「やめて!!」

 あなたの制止も虚しく、少女の手はグミと化した肌に触れ、ボン!!という大きな音と共にサーシャを小さなグミの山へと変えてしまった。

「うわあああああ!!」

 言葉にならない叫び声を上げるあなた。

『お姉ちゃんも食べてみる?おいしいよ。』

『ぜひどうぞ。』

 無理やり口の中にクッキーとグミを押し込まれた時、あなたの精神は崩壊した。

 残念ながらあなたの冒険はここで終わった。

   THE END

 

 

No.142

「あれ、あなたは船に乗り込まないの?渡し守なのに?」

 いつまで経っても船に乗り込まない男にあなたは声を掛けた。船に動力は存在しない。まさか自分で船を漕げとでもいうつもりだろうか?それにしては、櫓も見当たらなかった。

『私には重要な仕事があるからな。』

「仕事?」

 理解外の言葉に、あなたは再度問い返した。

『お喋りはここまでだ。船にしっかりと捕まりたまえ。途中で振り落とされれば命はないぞ。』

 男は船の向きを変え、船尾を掴んだ。足元を何度か確かめ、しっかりと踏みしめる。肩の筋肉が目に見えて盛り上がっていった。

 その様子を見て、ミネアが悲鳴を上げた。

「もしかして、人力で向こう岸まで飛ばすつもりですか?嘘でしょう?」

『もう喋るな。舌を噛むぞ。ぬおおおおおおおおおおお!!』

 男の筋肉が弾け、雄叫びが口から漏れた。

 ブン!!

 船の外の景色が一瞬滲んだ後、後方へとすっ飛んでいく。船は弾丸のように水面を滑っていった。あなたは風圧で顔を上げられず、船底で仲間達と肩を寄せ合うことしかできなかった。

 カタン。

 どれくらい時間が経っただろうか?小さな衝撃が船底に走り、あなたは思わず顔を上げた。ゆっくりと周りの様子を確認する。

 そこは先程とほとんど変わらぬ光景だったが、船首が岸に向いているのと通路の突き当たりに扉が3つ付いている部分が以前と違っていた。どうやら向こう岸にたどり着いたらしい。

   No.82へ進む

 

 

No.143

 広間に続く扉を開くと、そこは別世界になっていた。すべてが凍り付いている。壁も床も、すべてが白い霜で覆われていた。

 グオオオオオオオオオオ!!

 凄まじい雄叫びが響き、陽光が差し込む頭上へと立ち昇っていった。呼吸に合わせてコフコフと白い冷気が口の端から漏れている。明らかにこちらに敵意を持っているようだ。

「ホワイトドラゴンが…」

「起きちゃってる?!」

 タイミングを合わせたように呟くミネアとあなた。サーシャはガクガクブルブルと震えている。

 戦いは避けられそうにない。あなたは腰の剣を抜き放った。

   No.109へ進む

 

 

No.144

「知らないわけがないでしょう!!知っていることをすべて話すのよ!!」

『ほんとに知らないよ。』

『本当です。』

 さて、次は何を聞く?

  A.お菓子はどこから調達したのか聞く。 No.141へ進む

  B.迷宮の主の事を聞く。        No.147へ進む

 

 

No.145

 シクシクシク。

 扉に近づくと少女のすすり泣きが聞こえてきた。あなたは慌てて扉の小窓を除きこむ。小窓から見える範囲には、少女の姿は見えない。得体の知れないガラクタが床に散らばっている。意外なことに扉に鍵は掛かっていないようだ。

 さて、あなたは…

  A.扉を開けて中に入った。   No.121へ進む

  B.他の扉を開けることにした。 No.133へ進む

  C.広間に戻った。       No.143へ進む

 

 

No.146

「あれは何かしら?」

 通路としては緩やかに左へとカーブを描いているが、東に半円状の空間が開けていた。東の壁際には石の台座が据えられており、一振りの剣が突き立っていた。炎の装飾が彫られた台座は光のカーテンで囲まれており、明々と照らされている。台座を囲むようにして、10体の女性の裸婦像が並べられているのが奇妙だった。石像は白い石で作られているが、妙に生々しい印象を受けた。

「封印された剣ですね。常識的に考えれば剣を守っているんでしょうが、罠とも考えられます。」

 さて、あなたは…

  A.台座へと近づいた。  No.108へ進む

  B.無視して先を急いだ。 No.92へ進む

 

 

No.147

 ドン!!

 あなたはチョコレートのテーブルを激しく叩いた。少女二人は驚いて身を竦める。

「吐け!!吐いて楽になったらどう?あんた達が知っているっていうネタは上がってんのよ!!まあ手足の一本や二本いらないんなら、それでもいいんだけど…。それが嫌ならさっさと吐くことね!!」

『びええええええええん!!』

『ひっく、ひっく、そんな…。』

 少女達が泣き出したのを見て、あなたはやりすぎたことに気が付いた。後ろでは仲間の二人があきれ返っている。

「ご、ゴメンネ。つい、調子に乗っちゃって…。本当にごめん!!」

 しかし、意外にも少女達は涙ぐみながらも微笑んでいた。

『ううん、お姉ちゃんの迫真の演技、楽しかったよ。』

『子供だからって適当にあしらう人が多くて面白くなかったんですが、臨場感があって最高でした。』

 どうやら、喜んでもらえたらしい。あなたはホッと胸を撫で下ろした。

『ごめんね、引き止めて。おねえちゃんたち、ここの主さんに会いに行くんでしょ。』

『じゃあ、この剣と腰の剣を交換しませんか。きっと役に立つと思いますから。』

 そう言うと、一人の少女がクッキーの箱の中から一本の細身の剣を取り出した。さて、あなたは

  A.交換する。  No.97へ進む

  B.交換しない。 No.153へ進む

 

 

No.148

 十数歩道なりに進むと、また看板が立っていた。やはり『引き返せ』と書いてある。

 さて、あなたは…

  A.看板に従って引き返した。       No.152へ進む

  B.とことん無視してさらに先へと進んだ。 No.96へ進む

 

 

No.149

「そんなときは先手必勝よ!!」

「あっ、ダメです!!」

 ミネアに制止する隙を与えず、あなたはドラゴンに飛び掛った。前足に顎を乗せて眠るドラゴンの左瞼に剣を深々と突き立て、剣を引き抜く反動を利用して大きく飛び退き、間を取った。

 グオオオオオオ!!

 前足で顔を覆い身悶えするホワイトドラゴン。あなたの目の前で弱点と言われている白い腹が見え隠れしていた。

 ゴオオオオオオ!!

 巨大な火の玉があなたの背後で放たれ、ドラゴンに向かって一直線に飛んでいく。

 ズガアアアアン!!グオオオオオオ!!

 火球はドラゴンの腹に命中し、広間は爆煙と苦悶の咆哮で覆い尽くされた。あなたは煙の向こうにいるドラゴンを見据えながら、先程の火球がミネアの魔法であることを確信していた。たとえ乗り気でなくても、一端事が起これば最善を尽くす。自分には過ぎた仲間だと、あなたは改めて思った。

 サーシャの祈りの効果だろう、体に力がみなぎってくる。あなたは勝利を確信していた。その時までは…。

   No.138に進む

 

 

No.150

「この迷宮の秘密を知っているだけしゃべりなさい。」

『秘密?うーん、そうだ、魔方陣は危険がいっぱいだよー。』

『ホワイトドラゴンは、娘さんを探しているそうです。』

 あなたは今後の冒険に有利な情報を聞き出した。しっかり覚えておくといいだろう。

『お姉ちゃん、付き合ってくれてありがとう。』

『楽しかったです。』

 少女達はどうやら満足したらしい。

   No.126へ進む

 

 

No.151

 扉を開くと湿気を含んだかび臭い空気がこぼれ出てきた。そこは薄暗い通路で、天井一面に密生した光ゴケが淡い光を放っている。目の前には看板が立っておりそこにはただ一言、『引き返せ』と書かれてあった。

 さて、あなたは…                                               

  A.看板に従って引き返した。 No.143へ進む

  B.無視して先に進んだ。   No.116へ進む

 

 

No.152

 あなたたちが広間に戻ると、先程まで巨体を横たえていたホワイトドラゴンが姿を消しており、その後ろにあった黄金の扉が全容を現していた。それは北壁に取り付けられた扉で、金無垢らしく重量がありそうだった。

「これはチャンスじゃないですか?」

「そうね。いつ戻ってくるかもわからないし。」

 あなたがミネアと話し合っていると、遥か上空から翼の羽ばたく音が聞こえ始めた。

「まずい!!帰って来た?」

「急ぎましょう。」

 あなたは黄金の扉へ一番に走り寄ったが、重くて動かすことができない。その間にも羽ばたきの音はだんだん大きくなってくる。

「サーシャ、お願い!!」

 サーシャはあなたを押しのけるようにして扉へと取り付くと、渾身の力を込めて押し開いた。

 人一人通れる隙間が出来た瞬間、あなたはミネアを扉の中に突き飛ばし、自身もサーシャを抱えて転がり込んだ。

 グオオオオオオ!!

 ホワイトドラゴンの咆哮が、扉の隙間から響いてくる。

 服についた埃を払う間もなく、サーシャは慌てて扉を閉じた。

   No.118へ進む

 

 

No.153

 あなたは愛着のある剣を手放す気にはなれなかった。

「ごめんなさい。この剣は長年使っているから、手に馴染んでいるのよ。」

 頑丈一点張りの無骨な剣だが、あなたは絶対的な信頼を置いていた。

『そうですか、無理強いはできませんね。』

『残念。』

 少女は剣を元の箱にしまった。

   No.126へ進む

 

 

No.154

「んっ、んんん?」

 いつの間にか気を失っていたらしい。あなたは寝ぼけ眼で辺りを見回し、自分が大きなガラスの容器に閉じ込められていることに気がついた。

「?」

『おっ、目が覚めたようですね。私は錬金術師のオータムです。短い間ですがよろしく。』

 一人の男がこちらを見ている。男の視線にいやらしいものを感じ、あなたは自分が裸であることに気がついた。慌てて足を閉じ、手で胸を覆う。

『あなたは、ここオータムの実験室に送られてきました。ここに来たものは例外なく実験に付き合ってもらいます。』

「実験?」

 意外な言葉に、あなたは男の言葉を反復した。

『なに、原理は簡単です。物質の瞬間移動は魔法により僅かな距離であれば可能になっているのは周知の事実です。距離が短すぎて移動に使うことはめったにありませんがね。これを応用した実験です。二つの物質を同時に同じ場所へ空間移動させることにより、二つの物質の癒合を目指します。』

 男は少し離れた場所に置かれた、あなたが入っているのと同じ大きさのカプセルを指差した。そこには人間大の黄金の塊が置かれていた。

『こちらの容器に入った黄金の塊とあなたを同じ空間に同時に出現させることで、存在そのものを癒合させるのです。これによりあなたは、人並みの学習能力を持った魂のない黄金のメイドとして存在し続けることになるのです。』

「ちょっと、冗談じゃないわよ。」

 男の説明はとても受け入れられるものではない。あなたは裸体であることも忘れて立ち上がった。

『安心してください。魂は癒合の時点で消滅するはずですから、痛みも感じませんよ。』

「出してよ。ここから出して。」

 あなたは必死になってガラスを叩いたが、容器はびくともしない。

『はいはい、説明はここまでです。それでは自動呪文詠唱機、スイッチオン!!』

「いやー!!」

 ブブブーン。

 機械が唸る音がして、目の前の景色が消えた。視界が金色に染まりあなたは思わず目を瞑った。

『ふふふ、さあ目覚めたまえ。ゴールデンメイドよ。』

 オータムの声が聞こえる。あなたはゆっくりと瞼を開いた。下品な笑みを浮かべながらあなたの元に近づいてくるオータムの姿がまず目に入った。続いて己の身体を見てみる。金色だった。あなたの体は黄金特有の眩い輝きを放っていた。ということは、実験は成功したということだろうか?それにしては、意識が、記憶がはっきりしている。

 あなたは慎重に立ち上がった。多少の違和感はあるが、体も思うように動きそうだ。

『私がご主人様だよ。』

 力が湧きあがってくる。あなたは目の前に立ったオータムを怒りに任せて殴りつけた。

 オータムの体が壁へ一直線に飛んでいく。そのパワーに、あなたは自分でやっておきながら驚いた。

『ばかな!!魂が消滅せずに残っているなんて…。』

 男は血反吐を吐きながら事切れた。あなたは動かなくなった男に蹴りを入れる。

「ばかなって言いたいのはこっちの方よ。どうしてくれんのよ、この体…。」

 黄金の体は思いの他快適ではあったが、問題はそこにはない。この姿では人間世界に戻ることはできないだろう。

「考えていても仕方がないか。まずはミネアとサーシャを探さないと。無事だといいけど。」

 あなたは台の上に置かれた愛用の装備を手早く身に付け、扉を蹴破り部屋を出た。

 

『町を走る一陣の光。黄金の肌に真紅のビキニ鎧。賞金首を狩る異色のヒロインが、突然町に現れた。彼女は己の体を元に戻す方法を探して、片手間に悪を倒していくのだ。人は彼女のことをゴールデンガールと呼んだ』というのはまだ先の話。

 残念ながら、あなたの冒険はここで終わった。

   THE END

 

 

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